さんぱいQ&A 2022年4月15日

処理委託料金の支払い方法に決まりはあるの?

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疑問

 工事に関わる工事会社へ、あわせて産業廃棄物の処理を委託する予定です。

 その際、工事料金に含めたかたちで処理委託料金を支払おうと予定しているのですが、廃棄物処理法上、処理委託料金の支払い方法について何か規定はあるのでしょうか?

回答

 まず結論として、廃棄物処理法上、処理委託料金の支払い方法について特段規定されているわけではありません。

 環境省通知※1※2によれば、処理委託の根幹的内容は排出事業者と処理業者との間で決定するものであるとしており、処理料金の支払いにおいて重要なのはその方法ではなく、廃棄物の適正処理が行われるために、委託先の処理業者へ適切な処理料金を支払い、排出事業者が適正な対価を負担することであると解されます。

 (前略)排出事業者は、排出事業者責任を有しており、排出事業者が廃棄物の処理を他人に委託する場合は、廃棄物処理法に規定する処理業者に委託しなければならないなど、排出事業者の義務を遵守しなければならない。

 その場合、排出事業者としての責任を果たすため、排出事業者は、委託する処理業者を自らの責任で決定すべきものであり、また、処理業者との間の委託契約に際して、処理委託の根幹的内容(委託する廃棄物の種類・数量、委託者が受託者に支払う料金、委託契約の有効期間等)は、排出事業者と処理業者の間で決定するものである。排出事業者は、排出事業者としての自らの責任を果たす観点から、これらの決定を第三者に委ねるべきではない。(後略)

引用元※1 環境省 廃棄物処理に関する排出事業者責任の徹底について(通知)(2021.11.16 現在)

【「適正な対価(料金)」について】

・ 適正な対価を負担していない場合には、処理業者が適正な処理をできないため、不法投棄や不適正処理が行われる可能性が高くなりますので、処理状況について十分な注意が必要です。

・ 適正な対価を負担していない場合とは、一般的に行われている方法で処理するために必要とされる処理料金からみて著しく低廉な料金で委託する場合をいいます。

・ 地域における産業廃棄物の一般的な処理料金の半値程度又はそれを下回るような料金で処理委託を行っている排出事業者については、当該料金に合理性があることを示すことができない場合、適正な対価を負担していないことになります。

・ 適正な料金については、廃棄物の種類や量、処理方法、地域等によって異なりますが、食品リサイクル法の登録再生利用事業者は料金を公示していること、優良産業廃棄物処理業者は料金の提示方法を公表していることが、参考になります。

・ 委託先の選定に当たって、合理的な理由なく、適正な処理料金か否かを把握するための措置(例えば、複数の処理業者の見積もりをとること、委託する産業廃棄物と同種の事業系一般廃棄物の市町村での処理料金の確認)等を講じていない場合にも、措置命令の対象(法第 19 条の6)になる可能性があります。

※ 詳細は、「行政処分の指針について(通知)」(平成 25 年3月 29 日付け 環廃産発第 1303299 号 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長通知)を参照してください。

引用元※2 環境省 排出事業者責任に基づく措置に係る指導について(通知)(2021.11.16 現在)

 なお、参考として関東地方の自治体への照会も行いましたが、上記と同様の旨の見解を頂戴しております。

 従いまして、廃棄物処理法上、処理委託料金の支払い方法について特段規定されているわけではないため、「工事料金に含めたかたちで処理委託料金を支払う」という行為自体が問題というわけではなく、支払った料金が、一般的に行われている方法で処理するために必要とされる処理料金からみて適正か否かが重要であると推察されます。

この記事の作成者

株式会社JEMS つくば本社
担当: 野口
URL: https://www.j-ems.jp/

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