産業廃棄物の処理を委託する予定の収集運搬業者から、「費用は無償でいい」と言われました。
このような運用は、廃棄物処理法もしくは社会通念上問題ないのでしょうか?
廃棄物処理法上、「委託者が受託者に支払う料金」の具体的な取り扱いについて述べた規定は確認できませんが、委託した産業廃棄物の適正処理を担保するためにも、排出事業者は「適正な対価」を負担する必要がございます。
この「適正な対価」の考え方について、環境省は以下の見解※1を示しており、また、「適正な対価」を負担していないときは措置命令の対象となる可能性があるともしています。排出事業者責任を全うするためにも、「委託先の業者にいいと言われたから」という理由だけで判断するのではなく、「その費用にした合理的な理由はあるか、その費用で適正処理は担保できるか」という点も踏まえてご判断ください。
▼「適正な対価(料金)」について
・ 適正な対価を負担していない場合には、処理業者が適正な処理をできないため、不法投棄や不適正処理が行われる可能性が高くなりますので、処理状況について十分な注意が必要です。
・ 適正な対価を負担していない場合とは、一般的に行われている方法で処理するために必要とされる処理料金からみて著しく低廉な料金で委託する場合をいいます。
・ 地域における産業廃棄物の一般的な処理料金の半値程度又はそれを下回るような料金で処理委託を行っている排出事業者については、当該料金に合理性があることを示すことができない場合、適正な対価を負担していないことになります。
・ 適正な料金については、廃棄物の種類や量、処理方法、地域等によって異なりますが、食品リサイクル法の登録再生利用事業者は料金を公示していること、優良産業廃棄物処理業者は料金の提示方法を公表していることが、参考になります。
・ 委託先の選定に当たって、合理的な理由なく、適正な処理料金か否かを把握するための措置(例えば、複数の処理業者の見積もりをとること、委託する産業廃棄物と同種の事業系一般廃棄物の市町村での処理料金の確認)等を講じていない場合にも、措置命令の対象(法第19条の6)になる可能性があります。
※ 詳細は、「行政処分の指針について(通知)」(平成25年3月29日付け 環廃産発第1303299号 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長通知)を参照してください。