元請会社が所有する車両を用いて、下請会社の社員が処分場まで運転する場合、排出事業者(元請会社)の自ら運搬とみなされるのでしょうか? 元請会社の社員の同乗などによって、その該否は異なってくるのでしょうか?
廃棄物処理法上、収集運搬の業許可が不要となる自ら運搬については、以下のように記されているのみであり、「自ら運搬する」以上のことが規定されているわけではありません。
▼廃棄物処理法第十四条第一項(一部省略)
産業廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその産業廃棄物を運搬する場合に限る。)については、この限りでない。
一方、自ら運搬の範囲について、行政書士等有識者らは「自社の社員かつ自社の車両以外の条件下での運搬」については懐疑的な見解を示しておりますが、JEMSリサーチセンターが過去環境省へ照会した際には、以下のような見解を頂戴しております。
▼環境省見解(電話調査)
【前提】
建設工事を元請け会社(以降、A社)と下請け会社(以降、B社)が請け負っている。
【調査結果】
Q1.A社が所有する車両を用いて、B社社員が運転して、処分場へ運搬する。なおA社社員は同乗しない。
A1.自社運搬とみなされない。
Q2.A社が所有する車両を用いて、B社社員が運転し、またA社社員が同乗して、処分場へ運搬する。
A2.B社社員がA社の指揮命令系統下に置かれている状態であれば、自社運搬とみなされる。
Q3.A・B社間の請負契約において「産業廃棄物の運搬において、A社所有の車両を用い、その車両をB社社員が運
転する」と記載する。なおA社社員は同乗しない。
A3.B社社員がA社の指揮命令系統下に置かれている状態であれば、自社運搬とみなされる。
なお、上記過去調査にあたり、環境省からは「前提として当見解がすべての自治体で当てはまるわけではないだろう。」との見解も頂戴しておりますので、実運用の際には、事前に管轄の自治体にご相談いただくことが確実といえます。