さんぱいQ&A 2024年4月19日

執行猶予がついた場合の欠格要件の考え方は?

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疑問

 廃掃法の欠格要件で、執行猶予付きの実刑判決の場合、欠格期間や欠格要件の扱いはどうなるのでしょうか?

回答

 執行猶予となった場合にも、欠格要件に該当し、執行猶予期間中は欠格期間にあたります。
 また刑を執行されることなく執行猶予期間を過ごした場合でも、その後別の理由で欠格要件に該当すると行政が判断する可能性があります。

 ご質問については、環境省の「行政処分の指針について」という通知で見解が示されています。※1

※1 行政処分の指針について(環循規発第2104141号、令和3年4月14日付)p10の①

引用元https://www.env.go.jp/content/900479568.pdf

 この通知の該当箇所に基づきますと、まず、
① 執行猶予の言渡しを受けた者は、法第7条5項4号のハ※に該当するとされ、刑の言渡し受けた時点で欠格要件に該当すると、されています。
※ハとは ”禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者”

② 一方、通知では、刑が執行されることなく(執行猶予の取消しを受けず)、猶予期間を過ごした場合、猶予期間終了後は先ほどのハの欠格要件(「執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者」)に該当しないことも示しています。

③ ただし通知では、法第7条第5項第4号チの”その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者”に該当し得るとしており、猶予期間終了後でも欠格要件に該当する可能性があることを示しています。

 要約しますと、
・執行猶予期間中=欠格期間にあたりますが、
・刑の執行を受けずに猶予期間を過ごした場合、猶予期間が終了した時点で、欠格期間から解放されることになります。
・ただし解釈の仕方で別の理由から欠格要件に該当する可能性がある
という形となります。

 ここまでの内容を懲役2年執行猶予3年の刑を言い渡された場合を例にとって以下のように図で整理しました。
 今回のご質問についてはNo.2のケースをご参照ください

 なお、現在の法解釈の場合、同じ欠格要件である環境法令系の罰金刑(廃棄物処理法第7条第5項第4号ニ)と比べて、執行猶予つきの実刑判決の方が、欠格期間が短く済んでしまう可能性があります。※図のNo.1とNo.2の関係
 この場合、刑法上の刑の軽重と欠格要件が連動していない(不平等が生じる)という課題があります。
 このことは、過去環境省内でも議論されましたが、原則の方針に変わりはないようです。その代わり、別の理由で欠格要件に該当することができるとした前述の③の解釈が通知で示されています。

2.検討課題 (3)執行猶予の期間が満了した者の欠格要件の取扱いについて(欠格要件の在り方について報告書内_環境省、平成21年3月_第2次欠格要件の在り方検討会)

引用元https://www.env.go.jp/recycle/waste/conf_kekkaku/rep_2nd.pdf

 また、別の解釈では、執行猶予期間が満了したときを「執行を受けることがなくなった日」と解して、それから5年間を欠格要件該当期間とする説もあります。※No.3とNo.4の関係
 こちらは実際に刑が執行された場合の方が欠格期間が短く済んでしまう可能性があり、前述の環境省検討会での検討した結果、採用されていません。

 いかがだったでしょうか。
 欠格要件は排出事業者の皆様には普段あまりなじみのないテーマですし、その解釈や運用が難しいテーマになりますが、ぜひこの機会に理解を深めていただければと存じます。

この記事の作成者

株式会社JEMS

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