さんぱいQ&A 2026年1月15日

有価物判断を分けるのは“いつ売れたか”

CONTENTS

疑問

 運搬時点では有価物として引き渡し、業者で再度品質確認をした際に廃棄物と判断される場合はどのような対応が必要でしょうか。

回答

有価物判断において、実務上とくに重要となるのが、次の2点です。
A) 売買が「いつ」成立しているか
B) 物の引渡し時点で、廃棄物に該当しているか否か

この違いによって、
➤ 誰が排出事業者になるのか
➤ マニフェストは必要か
といった対応が大きく変わります。


1.物の引渡し時点で「有価物」として売買が成立している場合
  物の引渡しと同時に売買契約が成立している場合、当該物は引取り先(処理業者等)の占有物となり、
 排出事業者の廃棄物ではなくなります。
  この場合、その後の品質確認や選別工程の結果として産業廃棄物が発生したとしても、
 それは引取り先の事業活動に伴って発生した廃棄物となるため、排出事業者は引取り先事業者となります。
  したがって、当初の引渡し時点において、排出事業者側でのマニフェスト交付は不要となります。

2.品質確認の結果次第で「有価物」として売買が成立する場合
  一方で、「引き取ってみないと有価物か分からない」といった、
 品質確認や選別結果次第で売買成立の可否が判断されるケースも少なくありません。
  この場合、引渡し時点では廃棄物該当性が未確定であるため、排出事業者としては、物の引渡しと同時に
 マニフェストを交付する必要があります(産業廃棄物収集運搬許可業者への委託が必要となります)。

その後、品質確認の結果により、対応は以下の2パターンに分岐します。


○パターン1:処理業者での品質確認後、「有価物」として売買が成立した場合
・物の引渡し時点で、不要物としてマニフェスト交付
・廃棄物としての扱いは収集運搬工程まで
・運搬終了報告を確認した時点で廃棄物処理法上の管理義務は終了し、以降は有価物としての取引となる

○パターン2:処理業者での品質確認後、「産業廃棄物」と判断され「有価物」として売買が成立しなかった場合
・物の引渡し時点でマニフェスト交付(パターン1と同様)
・運搬から中間処理・最終処分まで廃棄物として取り扱う
・排出事業者として、最終処分完了まで報告内容を確認する必要がある

では、なぜそのように判断できるのでしょうか。この考え方の根拠は、次の2点にあります。


■法的根拠
(1)占有の移転
  民法第176条では「物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる」と規定されています。
  したがって、売買契約に基づき有価物として引き渡された時点で、当該物の占有は引取り先に移転します。
(2)誰の事業活動に伴って廃棄物が発生したか
  廃棄物処理法第3条第1項では「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を
 自らの責任において適正に処理しなければならない」と定められています。
  選別工程や品質確認は引取り先の事業活動に該当し、その工程で廃棄物が顕在化する場合、
 排出事業者は引取り先事業者となるのが基本的な整理となります。

■まとめ
・有価物判断では「売買成立のタイミング」が極めて重要
・引渡し時点で売買が成立していれば、その後の廃棄物は引取り先責任
・品質確認後に売買が成立する場合は、引渡し時点でマニフェスト対応が必要
・排出事業者の判断は「占有の移転」と「誰の事業活動で廃棄物が発生したか」に基づく

 実務においては、契約内容や取引の実態を踏まえ、引渡し時点での位置づけを明確にしておくことが、
 適正処理とリスク回避の観点から重要ですので、ご留意いただければと思います。

この記事の作成者

株式会社JEMS 吉井

この記事は役に立ちましたか?

TOP

検索
資源循環ノート