全産連等から販売されている紙マニフェストの様式※1には、法定記載事項である「産業廃棄物の種類」欄とは別に、法定記載事項ではない「産業廃棄物の名称」欄が設けられておりますが、以下のような「種類」と「名称」に整合性が取れないケースにおける違反該当性と法的リスクについて、ご教示いただけますと幸いです。
▽想定ケース
1.「種類」にチェックはあるが、「名称」は記載されていない場合
2.「種類」にチェックはないが、「名称」は記載されている場合
1.「種類」にチェックはあるが、「名称」は記載されていない場合
ご認識の通り、「産業廃棄物の名称」はマニフェストにおける法定記載事項ではないことから、「名称」が記載されていないからといって、直ちに違反となるとは限らないと考えられます。
ただ、マニフェストは、一体不可分の廃棄物であるような例外を除き、法で規定された産業廃棄物の種類ごとに交付することが原則であり、名称欄に“混合廃棄物”などと記載していないのにも関わらず、複数種類にチェックを入れているような場合、前述した原則を満たしていないと判断される可能性もあることから、「種類」と「名称」は整合性が取れるかたちに記載することが望ましいと思われます。
2.「種類」にチェックはないが、「名称」は記載されている場合
マニフェストにおける法定記載事項として規定されている「産業廃棄物の種類」に関して、環境省※2は以下のような見解を述べております。
<環境省見解(抜粋)>
「種類」は、法第2条第4項及び令第2条に規定する産業廃棄物の種類を原則とし、特別管理産業廃棄物である場合にはその旨を記載しなければならないが、例えばシュレッダーダストのように複数の産業廃棄物が発生段階から一体不可分の状態で混合しているような場合には、その混合物の一般的な名称を記載して差し支えないこと。
従いまして、マニフェストに委託する産業廃棄物の種類を記載することが趣旨であると考えられることから、種類欄への記載がされていない場合であっても、法で規定された産業廃棄物の種類が名称欄に記載されている場合(例:汚泥)に限っては、直ちに違反となるとは限らないと思われます。
なお、環境省は、複数の産業廃棄物が発生段階から一体不可分の状態で混合しているような場合には、その混合物の一般的な名称を記載して差し支えないとの見解も示しており、このような場合にも、種類欄への記載がされていないことを理由に直ちに違反となるとは限らないと考えられます。