静脈ゼミナール 廃棄物種類編 2022年4月1日

産業廃棄物の種類

 前回、「廃棄物とは」というタイトルの記事のなかで、廃棄物の定義についての記事を掲載しました。廃棄物は、産業廃棄物と一般廃棄物の2つに分類されており、さらに、それぞれのなかに通常の廃棄物と特別管理廃棄物という分類があります。今回は、「産業廃棄物」に焦点を当てて、産業廃棄物とは具体的にどのような廃棄物なのかという点について紹介していきます。

20種類の産業廃棄物

 廃棄物処理法によれば、産業廃棄物とは、「事業活動に伴って発生した廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物」と定義されています。

4 この法律において「産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。
一 事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物

引用元廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第2条第4項第1号

 その他政令で定める廃棄物とは何のことを指しているのでしょうか。今度は、政令(=廃棄物処理法施行令)も確認してみましょう。

※一部抜粋
第二条 法第二条第四項第一号の政令で定める廃棄物は、次のとおりとする。
一 紙くず(建設業に係るもの、パルプ、紙又は紙加工品の製造業、新聞業、出版業、製本業及び印刷物加工業に係るもの)
二 木くず(建設業に係るもの、木材又は木製品の製造業、パルプ製造業、輸入木材の卸売業及び物品賃貸業に係るもの、貨物の流通のために使用したパレットに係るもの)
三 繊維くず(建設業に係るもの、繊維工業に係るもの)
四 食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物
四の二 と畜場においてとさつし、又は解体した獣畜及び食鳥処理場において食鳥処理をした食鳥に係る固形状の不要物
五 ゴムくず
六 金属くず
七 ガラスくず、コンクリートくず(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものを除く。)及び陶磁器くず
八 鉱さい
九 工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物
十 動物のふん尿(畜産農業に係るものに限る。)
十一 動物の死体(畜産農業に係るものに限る。)
十二 ばい煙発生施設、ダイオキシン類対策特別措置法に規定する特定施設又は次に掲げる廃棄物の焼却施設において発生するばいじんであつて、集じん施設によつて集められたもの
イ 燃え殻
ロ 汚泥
ハ 廃油
ニ 廃酸
ホ 廃アルカリ
ヘ 廃プラスチック類
ト 前各号に掲げる廃棄物
十三 燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、前各号に掲げる廃棄物又は法第二条第四項第二号に掲げる廃棄物を処分するために処理したものであつて、これらの廃棄物に該当しないもの

引用元廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令 第2条

 政令では、それぞれの廃棄物種類に限定条件などが細かく規定されています。これらのことをまとめると、産業廃棄物は以下の20種類に分けられます。

産業廃棄物の種類

業種指定のある産業廃棄物

 このうち、「紙くず」、「木くず」、「繊維くず」、「動植物性残さ」、「動物系固形不要物」、「動物のふん尿」、「動物の死体」の7種類は、特定の業種において発生した廃棄物が産業廃棄物として分類され、それ以外の業種で発生したものは、一般廃棄物として分類されます。たとえば、紙くずであれば、製紙業や新聞業、出版業などの事業活動に伴って生じた廃棄物は産業廃棄物に、これらの業種以外の一般的な企業のオフィスから出た廃棄物は一般廃棄物になります。また、動植物性残さであれば、食品や医薬品の製造業から排出されたものは産業廃棄物として分類されますが、飲食店や小売店などから排出されるものは一般廃棄物として分類されます。
 例外として、貨物の流通のために使用した木製パレットや、PCBが付着した紙くず、木くずは業種にかかわらず産業廃棄物になります。

廃棄物種類 指定業種
紙くず 建設業(工作物の新築、改装又は除去により生じたもの)、パルプ・紙・紙加工品製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業
木くず 建設業(工作物の新築、改装又は除去により生じたもの)、木材・木製品製造業(家具製造業を含む)、パルプ製造業、輸入木材の卸売業及び物品賃貸業
繊維くず 建設業(工作物の新築、改装又は除去により生じたもの)、衣服その他の繊維製品製造業以外の繊維工業
動植物性残さ 食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業
動物系固形不要物 と畜業、食鳥処理業
動物のふん尿 畜産農業
動物の死体 畜産農業

 対象の廃棄物が20種類のうちどの種類に該当するかについては、自治体によって見解が異なることがあります。また、廃塗料や廃インキであれば「廃油」と「廃プラスチック類」の混合物になるなどのように、排出する廃棄物が複数の廃棄物種類に該当するケースもあります。どの種類に該当するか判断に迷った場合は、排出する事業場を管轄する自治体に確認することが、適正な廃棄物処理へと繋がるでしょう。

この記事の作成者

株式会社JEMS つくば本社
担当: 鮏川(すけがわ)
URL: https://www.j-ems.jp/

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