マニフェストに記載する「排出事業場の名称」について、処理業者より「建廃処理委託契約書に記載された工事名」を記載するよう指摘を受けました。
廃掃法上、「排出事業場の名称」の具体的な記載方法は規定されているのでしょうか?
マニフェストにおける法定記載事項として規定されている「排出事業場の名称」は、廃掃法上その具体的な記載方法(「排出事業場の名称」を指すと解釈される「工事名」や「現場名称」を書くこと等)まで規定されているわけではありません。
また、「排出事業場の名称」は、そもそも委託契約書の法定記載事項というわけではなく、「排出事業場の名称」を指すと解釈され、自治体や業界団体が提供している委託契約書様式に設けられることがある「工事名」や「現場名称」等の欄は、現場でのスムーズな運用を目的として設けられた独自項目であると思われます。
その上で、建設系マニフェストを発行している建設六団体は、マニフェストにおける排出事業場の記載について以下のような見解(※1)を、委託契約書とマニフェストの記載内容の一致については芝田弁護士が以下のような見解(※2)を示しております。
▽建設六団体見解(一部抜粋)
実際に廃棄物を排出する建設現場について記入してください。
▽芝田弁護士見解(一部抜粋)
契約書とマニフェストの記載内容が正式名称である必要はありません。ただし、契約書の記載とマニフェストに記載された名称が誰が見ても「同一」であると判断される必要があります。もっとも、委託契約書の記載とマニフェストの記載から特定できる場合には、「同一の記載がされている」と認めて差し支えありません。
従いまして、マニフェストにおける「排出事業場の名称」の記載に関して、当該項目の具体的な記載方法は廃掃法上規定されていないものの、マニフェストの廃棄物追跡機能(マニフェストから廃棄物の移動のルートと排出事業者を辿る機能)を担保するためにも、どこから排出された産業廃棄物かが、誰が見ても同一であると判断されるかたちで記載することが重要であり、現場での実運用に際しては、その具体的な記載方法は当事者間の判断に委ねられ、現場ごとに様々なケース(工事名を記載する。現場名称を記載する。等)が有り得ると考えられます。