静脈ゼミナール マニフェスト編 2022年6月20日

マニフェスト交付の流れについて【静脈ゼミナール】

 産業廃棄物管理票(マニフェスト)とは、排出事業者が交付または登録する必要のある、7枚つづり(積替え保管を経由する場合は8枚つづり)の複写式の伝票のことです。

 今回のトピックでは、紙マニフェストの交付の流れについてご説明します。

一次マニフェストと二次マニフェスト

 マニフェストには、一次マニフェストと二次マニフェストがあります。一次マニフェストは、排出事業者から収集運搬業者を経由して中間処理業者へと持ち込まれる処理の流れの中で使用します。他方、二次マニフェストは、中間処理後の廃棄物が最終処分業者へと運ばれる際に使用するマニフェストです。

 一次マニフェストと二次マニフェストは、紙・電子両方のマニフェストにおいて存在します。マニフェストの交付義務や法定記載事項などの基本的な考え方については、下記の記事でご紹介しておりますので、ご参考にしていただければ幸いです。

 産業廃棄物管理票(マニフェスト)について

紙マニフェストの種類

 紙マニフェストは直行用と積替用の2種類あり、それぞれ異なるフォーマットになっています。直行用のマニフェストは積替え保管を経由しない直行経路において処理を委託する場合に使用されます。一般的に、A票、B1票、B2票、C1票、C2票、D票およびE票の7枚つづりからなる複写式伝票の形式で運用されます。

(公社)全国産業資源循環連合会から発行されているフォーマットをもとに作者作成

 A票からE票までの各票の役割は以下の通りです。

票の名称 役割
A票 排出事業者の控え
B1票 収集運搬業者の控え
B2票 収集運搬業者から排出事業者に送付され、排出事業者が運搬終了を確認
C1票 処分業者の控え
C2票 処分業者から収集運搬業者に送付され、収集運搬業者が処分終了を確認
D票 処分業者から排出事業者に送付され、排出事業者が処分終了を確認
E票 処分業者から排出事業者に送付され、排出事業者が最終処分終了を確認

 他方、積替用のマニフェストは積替え保管を経由する場合に使用されます。積替用のマニフェストはA票、B2票、B4票、B6票、C1票、C2票、D票およびE票の8枚複写の形式で運用されるのが通常です。積替用のマニフェストには、「運搬の受託(区間1)」、「運搬の受託(区間2)」のように、運搬の区間ごとに運搬受託者の名称等を記入する欄が設けられています。

 なお、積替え保管の考え方については、下記の記事をご参照ください。

 産業廃棄物の積替え保管とは

(公社)全国産業資源循環連合会から発行されているフォーマットをもとに作者作成

 A票からE票までの各票の役割は以下の通りです。

票の名称 役割
A票 排出事業者の控え
B2票 第一区間の収集運搬業者から排出事業者に送付され、排出事業者が第一区間の運搬終了を確認
B4票 第二区間の収集運搬業者から排出事業者に送付され、排出事業者が第二区間の運搬終了を確認
B6票 第三区間の収集運搬業者から排出事業者に送付され、排出事業者が第三区間の運搬終了を確認
C1票 処分業者の控え
C2票 処分業者から収集運搬業者に送付され、収集運搬業者が処分終了を確認
D票 処分業者から排出事業者に送付され、排出事業者が処分終了を確認
E票 処分業者から排出事業者に送付され、排出事業者が最終処分終了を確認

紙マニフェストの交付の流れ

 本記事では、一次マニフェスト(排出事業者から中間処理業者までのマニフェスト)、かつ積替え保管を経由しない直行経路における処理の流れを想定して紙マニフェストの交付の流れを見ていきます。また、排出事業者による自己運搬や自己処分はせず、収集運搬・処分ともに処理を委託することを想定します。

 
 まず、排出事業者は控えのA票を除いたB1票からE票を収集運搬業者へ交付します。マニフェストは、委託する産業廃棄物を収集運搬業者へ引き渡すと同時に交付します。

 排出事業者からB1票からE票の交付を受けた収集運搬業者は、運搬終了後に、控えのB1票を除いたB2票からE票のうち、B2票を排出事業者へ送付し、C1票からE票を処分業者に回付します。

 収集運搬業者からC1票からE票の回付を受けた処分業者は、処分終了後に、控えのC1票を除いたC2票からE票のうち、C2票を収集運搬事業者へ、D票を排出事業者へそれぞれ送付します。また、最終処分業者による処分が終了した後には、E票を排出事業者へ送付します。

 なお、紙マニフェストの交付の流れのなかで、「交付」や「回付」、「送付」という単語が登場しますが、これらの単語はそれぞれ以下の通り使い分けられています。

単語 意味
交付 排出事業者が収集運搬業者や処分業者へマニフェストを渡すこと
回付 排出事業者から交付されたマニフェストを次の処理業者へ回すこと
送付 交付または回付されたマニフェストを排出事業者や収集運搬業者へ返すこと

 また、収集運搬業者や処分業者は、運搬や処分が終了した日から10日以内に、排出事業者へマニフェストを送付しなければいけないと規定されています。

第八条の二十三 法第十二条の三第三項の環境省令で定める期間は、運搬を終了した日から十日とする。

引用元廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第八条の二十三(2022年6月現在)

第八条の二十五 法第十二条の三第四項の環境省令で定める期間は、処分を終了した日から十日とする。

引用元廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第八条の二十五(2022年6月現在)

 排出事業者においても、マニフェストを交付した日から90日(特別管理産業廃棄物の場合は60日、最終処分の場合は180日)以内に収集運搬業者や処分業者から送付を受けていない場合は、委託した産業廃棄物の処理状況を把握し、行政へ報告書を提出する必要があるとされています。

第八条の二十八 法第十二条の三第八項の環境省令で定める期間は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるものとする。
一 法第十二条の三第三項前段又は第四項前段の規定による管理票の写しの送付 管理票の交付の日から九十日(特別管理産業廃棄物に係る管理票にあつては、六十日)
二 法第十二条の三第五項又は第十二条の五第六項の規定による最終処分が終了した旨が記載された管理票の写しの送付 管理票の交付の日から百八十日

引用元廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第八条の二十八(2022年6月現在)

第八条の二十九 管理票交付者は、法第十二条の三第八項に規定するときは、生活環境の保全上の支障の除去又は発生の防止のために必要な措置を講ずるとともに、次の表の上欄の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる報告期限までに、様式第四号による報告書を都道府県知事に提出するものとする。

引用元廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第八条の二十九(2022年6月現在)

 処理業者から排出事業者へのマニフェストの送付期限や、処理業者からのマニフェストの送付状況の確認期限などをまとめると、下記のようになります。

廃棄物区分 送付期限 確認期限 措置内容等報告期限
産業廃棄物 10日以内 90日以内(最終処分は180日以内) 30日以内
特別管理産業廃棄物 10日以内 60日以内(最終処分は180日以内) 30日以内

 以上、紙マニフェストの交付の流れについてご紹介しました。

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この記事の作成者

株式会社JEMS つくば本社
担当: 鮏川(すけがわ)
URL: https://www.j-ems.jp/

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