サーキュラーエコノミーとは? 2022年7月7日

サーキュラーエコノミーとは?【コラム】

 サーキュラーエコノミーとは、資源の投入量を抑え、既存資源の有効活用はもとより物質消費自体の廃止を含めた環境負荷の抑制と、事業で生み出す価値を両立させる経済活動を指す言葉で、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指す経済モデルのことです。

 近年、資源循環と併せて広く一般に認知された概念ですが、日本では従前より廃棄物リサイクルを含む「3R」が推進されてきました。
 これら3Rとサーキュラーエコノミーは何が違うのでしょうか?

サーキュラーエコノミーとは

 サーキュラーエコノミー(Circular Economy)は、日本語では「循環経済」または「循環型経済」と訳される、経済活動を支える様々な資源の消費量を減らしたり、修理やメンテナンス性を高めるなどにより製品寿命を高めたり、製品が不要となった後でもリユースやリサイクル等で活用することで資源を循環させ、経済モデルを循環型(Circular)に考える概念です。

 廃棄物処理の世界からサーキュラーエコノミー(以降は 「C/E」と表現します)を考える場合

  資源循環 = C/E  と捉えがちですが
  資源循環 ⊂  C/E  と捉える方が正しいように感じます。

 C/Eには資源循環の他に、カーシェアや音楽配信サービス等、シェアリングエコノミーや、モノのコト化(脱物質化)の経済モデルを含み、最終的に物質消費を抑えた循環型の経済活動のモデルを確立する概念となるためです。

出典:経済産業省 資源循環政策の現状と課題より抜粋

リニアエコノミーとは

 リニアエコノミー(Linear Economy)とは、日本語では「直線経済」または「直線型経済」と訳される、製造・消費された製品などが、再利用されず単純に廃棄される経済活動の概念で、資源が投入・製造・消費・廃棄といったように一方通行に進む、経済モデルを直線型(Linear)に考える概念です。

 サーキュラーエコノミーという概念の広がりに伴い、従来型の経済モデルを表す言葉としてリニアエコノミー(以降は 「L/E」と表現します)も広く認知されるようになりました。


 この言葉の在り方については、「スマートフォン」に対する「フィーチャーフォン/ガラケー」や、「クラウド」に対する「オンプレミス」といった対義語の関係性と酷似しています。

3Rとサーキュラーエコノミーのちがい

 日本においては3Rモデルと呼ばれる、廃棄物の抑制・不要物のリユース・廃棄物のリサイクルを実施することで、資源の有効活用を図る取り組みが根付いています。
 廃棄物に係る事業に関わっている方にとってはなじみの深い言葉で、3Rモデルでは廃棄物の発生抑制、リサイクルを行うことが目標とされていました。

 リデュース、リユース、リサイクルを通じて、廃棄物を限りなくゼロに近づける「ゼロエミッション(zero emission)」の達成を目指す様々な取り組みがなされてきました。

 しかし、3Rモデルは廃棄物が発生することが前提になった経済モデルであり、その意味ではL/Eの拡張型ともいえるモデルです。

 3Rモデルについては、2022年7月現在、「リユースエコノミー」や「リサイクリングエコノミー」等、表記については統一されていません。
 本コラムでは、「リユース・リサイクリングエコノミー」として、以降はR/Eとして表現します。

 L/E・R/E・C/Eの違いは、以下の図の様な概念図で表されます。

L/E・R/E・C/E 各モデルのちがい(JEMS作成)

 
 言葉にすると
 R/Eモデルでは、「廃棄物が発生することを前提として、廃棄物から資源を極力再利用させる」ことを目指すモデルで
 C/Eモデルでは、「廃棄物を発生させずに、経済を循環させる」ことを目指すモデルとなります。

 そしてこれらの比較図の中に、R/Eでの「リサイクル」と、C/Eでの「リサイクル」と同じ言葉が出ておりますが、同じものを指すのでしょうか。

 例えば、3Rモデルの中では、熱回収がリサイクルの中に含まれていますので、1度はリサイクル可能ですが熱回収では繰り返し循環的なリサイクルを行うことは困難です。
 従いまして、同じ「リサイクル」という言葉を使っていても、R/EモデルとC/Eモデルでは資源の再利用または循環のさせ方に、明確な違いがあります。

 これらリサイクルの定義の違いについては、次回コラムで記載させて頂きます。

 以上で、サーキュラーエコノミーとは?についての解説は終了です。
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この記事の作成者

株式会社JEMS
担当: 深山
URL: https://www.j-ems.jp/

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