プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律とは、海洋プラスチックごみや気候変動などの問題、また諸外国の廃棄物輸入規制強化といった背景から、国内におけるプラスチックの資源循環を促進するため、2021年6月に成立した法律です。この法律では、製品の「設計・製造」から「販売・提供」、「排出・回収・リサイクル」までの各段階において、それぞれの主体がプラスチックの資源循環に関して、一層取り組みを加速させるための制度などが定められています。
また2022年3月、環境省は、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(以下、「プラスチック資源循環促進法」)の施行に合わせて、下記3つの手引きを公表しました。
・製造・販売事業者等による自主回収・再資源化事業計画の認定申請の手引き
・排出事業者等による再資源化事業計画認定申請の手引き
・排出事業者のプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制及び再資源化等の促進に関する判断の基準の手引き
本コラムでは、このうち「排出・回収・リサイクル」段階における、プラスチック使用製品の製造・販売事業者等を対象とした自主回収・再資源化事業計画に関する認定や申請方法の概要についてご紹介します。
排出事業者等を対象とした再資源化事業計画については、下記の記事でご紹介しています。ぜひご覧ください。
プラ法における再資源化事業計画認定について 1/2
また、下記ではプラスチック資源循環促進法や関連する政省令をリンクした条文を掲載しています。あわせてご覧ください。
プラスチック資源循環促進法関連トップ
プラスチックに係る資源循環の促進等に向けて、使用済プラスチック使用製品(※)の性状や排出実態について情報を有する、プラスチック使用製品の製造・販売、またその販売や役務の提供に付随して提供する事業者(以下、「製造・販売事業者等」)が、積極的に自主回収や再資源化を行うことが重要です。
プラスチック資源循環促進法では、製造・販売事業者等が「自主回収・再資源化事業計画」を作成し、国が認定する制度を設けました。本制度により認定を受けた場合、認定された自主回収・再資源化事業計画に基づく自主回収・再資源化事業について、廃棄物処理法に基づく業の許可が不要となります。
※一度使用され、または使用されずに収集され、もしくは廃棄されたプラスチック使用製品であって、放射性物質によって汚染されていないもののこと
これにより、複数の都道府県や政令市にまたがって自主回収・再資源化事業を行う場合、当該都道府県や政令市ごとに許可を受けずに、本制度の認定を受けることで自主回収・再資源化事業が可能となります。本制度では国で認定を一本化するので、広域で自主回収・再資源化事業を行う場合、申請費用に係るコストの削減につながります。さらに、都道府県や政令市ごとに異なる申請書類や審査基準等が一元化されることで、申請時の事務手続きが容易になるというメリットもあります。
なお、本制度の認定を受けた場合であっても、廃棄物処理法に基づく処理基準の遵守やマニフェストの交付などの各規定は通常の許可業者に委託する場合と同様に適用されます。
対象製品
前述の通り、本制度の対象となる使用済プラスチック使用製品とは、下記のものを指します。
・製造・販売事業者等が自ら製造し、もしくは販売し、またはその行う販売もしくは役務の提供に付随して提供するプラスチック使用製品(※)が、一度使用され、または使用されずに収集され、もしくは廃棄されたもの
・放射性物質によって汚染されていないもの
※当該プラスチック使用製品と合わせて再資源化を実施することが効率的なプラスチック使用製品を含む
他社が製造、販売または提供したプラスチック使用製品であっても、自主回収を行うプラスチック使用製品と合わせて再資源化を実施することが効率的なプラスチック使用製品であれば、認定の対象となります。ただし、他社が製造した製品のみを回収する場合など、自主回収と認められない計画については、認定の対象外となります。
また、消費活動によって生じた使用済プラスチック使用製品を消費者から回収する事業だけでなく、事業活動に伴って生じた使用済プラスチック使用製品を事業者から回収する事業も認定の対象となります。
ただし、プラスチック資源循環促進法第43条に規定する下記のプラスチック使用製品は、認定の対象から除外されます。
・家電リサイクル法第2条第4項に規定する特定家庭用機器
・自動車リサイクル法第2条第1項に規定する自動車
・小型家電リサイクル法第2条第1項に規定する小型電子機器等に該当するプラスチック使用製品
対象者
自主回収・再資源化事業の認定の対象となるのは、次の者です。
自ら製造し、もしくは販売し、またはその行う販売もしくは役務の提供に付随して提供するプラスチック使用製品(※)が使用済プラスチック使用製品となったものについて、自主回収・再資源化事業を行おうとする者
(当該使用済プラスチック使用製品の収集運搬や処分を他者に委託する場合を含む)
※当該プラスチック使用製品と合わせて再資源化を実施することが効率的なプラスチック使用製品を含む。
また、複数の事業者で共同して計画の認定申請を行うこともでき、この場合代表申請者を設定して、認定に係る事務を一元化することも可能です。
自主回収・再資源化事業計画の認定を受けようとする者は、計画を作成し、主務大臣(経済産業大臣および環境大臣)の認定を申請します。認定後は、毎年6月30日までに、前年度の自主回収・再資源化事業の実施の状況を主務大臣に報告します。
また、認定を受けた自主回収・再資源化事業計画を変更する場合は、その内容に応じて、変更の認定の申請、事前届出または事後届出を主務大臣に対して行います。
認定の申請の流れ
(1)申請書類の準備・事前相談
自主回収・再資源化事業計画の認定を受けようとする者は、製造・販売事業者等による自主回収・再資源化事業計画の認定申請の手引きで認定基準等を確認し、別添の様式により、自主回収・再資源化事業計画の申請書および添付資料(以下、「申請書類」)を準備します。
本制度を所管する経済産業省や環境省、地方環境事務所では、必要書類の確認等の事前相談も受け付けています。
(2)申請書類の提出
申請に必要な書類の準備が整ったら、申請書類と登録免許税の領収書(写しも可)を原則として電子データで提出します。電子データでの提出が難しい場合は、書面での提出も受け付けています。
(3)審査
申請書類に不備がない場合は受理し、審査を開始します。
審査では、提出された自主回収・再資源化事業計画が認定基準に適合していることや、申請者または申請者から委託を受けて収集運搬や処分を行う者が欠格要件に該当しないこと等の確認を、提出された申請書類等により行います。
新規申請の認定に係る標準処理期間は3ヶ月です。
認定に必要な書類
自主回収・再資源化事業計画の認定を申請するには、自主回収・再資源化事業計画(自主回収・再資源化事業計画認定申請書および別紙1から別紙9まで)に(A)から(N)までの添付書類が必要です。
【自主回収・再資源化事業計画の認定の申請に必要な書類の一覧】
・自主回収・再資源化事業計画
書類名 | |
---|---|
本体 | 自主回収・再資源化事業計画認定申請書 |
別紙1 | 一連の行程図 |
別紙2 | 回収の方法 |
別紙3 | 使用済プラスチック使用製品の管理方法 |
別紙4-1 | 使用済プラスチック使用製品の再資源化方法 |
別紙4-2 | 再資源化の実施率 |
別紙5 | 使用済プラスチック使用製品の収集、運搬又は処分を行う者(必要な場合のみ) |
別紙6 | 回収拠点及び積替施設一覧表 |
別紙7 | 処分施設一覧表 |
別紙8 | 研究開発の内容(必要な場合のみ) |
別紙9 | 生活環境に係る被害を防止するための措置について |
・添付書類
書類名 | |
---|---|
(A) | 定款(申請者が法人の場合) |
(B) | 登記事項証明書(申請者が法人の場合) |
(C) | 住民票の写し(申請者が個人の場合) |
(D) | 申請者が知識及び技能を有することを証する書類 |
(E) | 受託者が知識及び技能を有することを証する書類 |
(F) | 申請者が経理的基礎を有することを証する書類 |
(G) | 申請者が事業改善計画書及び財務諸表(貸借対照表、損益計算書等)の書類を当分の間毎年報告することを証する書類【誓約書】(必要な場合のみ) |
(H) | 受託者が経理的基礎を有することを証する書類【保証書】 |
(I) | 申請者が欠格要件に該当しないことを証する書類【誓約書】 |
(J) | 受託者が欠格要件に該当しないことを証する書類【保証書】 |
(K) | 収集運搬施設が基準に適合することを証する書類【誓約書】 |
(L) | 一般廃棄物処理施設又は産業廃棄物処理施設の設置の許可証の写し |
(M) | 処分施設が基準に適合することを証する書類【誓約書】 |
(N) | 再使用を行う場合において他法令に基づく許可等を受けていることを証する書類 |
自主回収・再資源化事業計画に記入すべき事項や添付すべき書類などの詳細は、製造・販売事業者等による自主回収・再資源化事業計画の認定申請の手引きをご参照ください。
以上、製造・販売事業者等を対象とした自主回収・再資源化事業計画に関する認定や申請方法の概要についてご紹介しました。
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