はじめに

 廃棄物処理法では、産業廃棄物の処理を他人に委託する場合、「産業廃棄物処理委託契約書(以下、委託契約書)」の締結義務があり、記載事項や添付書類、保存期間なども厳密に規定されています。

 一方、様式が規定されているわけではないことから、多くの排出事業者は、全産連や建設6団体、東京都が作成・公表している契約書を参考に、自社の廃棄物の特性等に即したかたちで自社独自の委託契約書を作成し、日々運用していることかと思います。

 この辺りの、委託契約書の位置づけについては、本コラムの「産業廃棄物の処理委託契約について」にて掲載してありますので、そちらをご参照ください。

 さて、このように皆様になじみの深い委託契約書ですが、自治体へ産業廃棄物の処分を委託する場合において、よく見る委託契約書の様式とは異なる、別種の書面の申請を求めている自治体があることはご存じでしょうか?

秋田県環境保全センターへ処分を委託する場合

 排出事業者が秋田県環境保全センターに委託して産業廃棄物を処分しようとする場合には、委託契約書に代わり、当該内容が包括されている使用許可申請書を提出する必要があります。また、提出後に交付される使用許可証の提示が、搬入の際の条件としても規定されています。

(画像引用)秋田県公式サイト 様式第1号 使用許可申請書
(画像引用)秋田県公式サイト 様式第2号 使用許可証

小樽市廃棄物最終処分場へ処分を委託する場合

 排出事業者が小樽市(廃棄物最終処分場)に処分を委託する場合には、委託契約書に代わり、処分委託申請書(正本・副本)を提出する必要があります。そして、提出後に交付される承諾書と処分委託申請書(副本)が、委託契約書に相当するものとして扱われます。

(画像引用)小樽市公式サイト 様式1 処分委託申請書(正本)
(画像引用)小樽市公式サイト 様式2 処分委託申請書(副本)

おわりに

 委託基準に違反した場合の罰則対象者はあくまでも排出事業者になりますので、このような初見の書面を見たときは、「本当にこれで大丈夫なの?」と混乱することもあるかもしれません。様式の特殊性に惑わされず、「法的に求められていることが網羅されているか?」に着目し柔軟な運用を行っていきましょう。

この記事の作成者

株式会社JEMS
担当: 野口(のぐち)
URL: https://www.j-ems.jp/

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