2023年5月26日、経済産業省および環境省より、「カーボンフットプリント ガイドライン」の別冊となっている、CFP 実践ガイドが公表されました。この実践ガイドでは、2023年3月に公表された「カーボンフットプリント ガイドライン」を踏まえた、カーボンフットプリントの算定方法や表示・開示方法について解説しています。また、この算定方法で行ったモデル事業における企業の事例も掲載しています。
詳細は、以下のホームページをご確認ください。
環境省HP 「カーボンフットプリント ガイドライン」 (別冊)CFP実践ガイドの公表について
カーボンフットプリントとは、製品やサービスのライフサイクルにおける温室効果ガス(GHG)の排出量を、二酸化炭素(CO2)量に換算して表示するもので、CFP (Carbon Footprint of Product)とも呼ばれます。本実践ガイドでは、CFP ガイドラインで示された要件を満たすCFP の算定方法、表示・開示方法や、排出削減の検討方法について解説しています。また、この算定方法で行ったモデル事業における企業の事例もあわせて掲載しています。
本実践ガイドでは、CFP 検討のステップとして、算定方法の検討から実際の算定、表示・開示方法、削減対策の実施に向けた検討に至るまで、以下の流れで説明しています。
本コラムでは、説明の一部を抜粋して紹介しておりますが、実際の算定等にあたっては、経済産業省や環境省のホームページで公開されている、本実践ガイドをご確認ください。
環境省HP 「カーボンフットプリント ガイドライン」 (別冊)CFP実践ガイドの公表について
「算定」工程では、Step1として、まず算定方針を検討したのち、Step2で算定範囲を設定し、その後Step3で実際のCFP 算定を行います。
(1) Step1 算定方針の検討
① 目的の明確化(Why)
算定方針を検討にあたっては、まずCFP の算定目的を決めます。その後、対象製品や算定方法の検討に入ります。算定の目的により CFP 算定で満たす要件は異なるなどといった理由から、まずはCFP の算定目的を決めることが重要です。
② 対象製品の選定(What 1/2)
最初は少ない製品で、CFP 算定の具体的なプロセスや判断方法、自社のデータ管理の特性を理解し、その後に算定対象製品を拡大することが効率的です。
③ 対象とするライフサイクルステージの決定(What 2/2)
B2C 製品と B2B 製品では、必要とされるライフサイクルステージが異なることが多いです。
④ 参照規格・基本方針の決定(How)
本実践ガイドでは、自社製品の CFP 算定・削減結果の評価やその訴求を目的とした CFP に取り組むことを前提として、CFP ガイドラインの第2部で示されている「基礎要件」を満たす算定方法について詳述しています。
(2) Step2 算定範囲の設定、Step3 CFP の算定
① バウンダリーの設定(ライフサイクルフロー図の作成)
算定対象としたライフサイクルステージの各プロセス(原材料や廃棄物などの「モノ」や生産・組立などの「工程」)を 1 つの図に落とし込んだ「ライフサイクルフロー図」を作成します。ライフサイクルフロー図を作成することで、対象製品の GHG 排出源を網羅的に洗い出すと共に、算定の対象範囲を明確にします。
② カットオフの基準の検討
算定対象とした全てのプロセス(モノや工程)を捕捉するのが理想です。一方で、CFP に対する影響が小さく、かつ算定が難しいプロセスはカットオフする(算定しない)ことができます。
③ 算定ルールの設定・算定手順書の作成
具体的な算定のルールを決め、それを算定手順書として資料に記載します。算定手順書は、社内の情報共有用として作成し、対外公表は不要です。社外秘の情報も含めて具体的に記載し、算定者にとってわかりやすい記載とすると共に、担当者が変わったとしても同じ算定方法を再現できるように作成することが重要です。
④ 算定ツールの用意・データの入力
算定用のアプリケーションや表計算ソフトを使った算定シートなどの算定ツールを用意します。算定手順書と同様、算定ツールも対外公表する必要はなく、社内の情報共有用として作成するため、社外秘の情報も含めて具体的に記載し、算定担当者以外にとっても分かりやすい記載とすることが重要です。
「表示・開示」工程では、表示・開示に向けた準備を行ったのち、実施します。
(1) 表示・開示に向けた準備
① 表示・開示のルールの理解
表示・開示に関するルールを確認し、それを参照した表示・開示を行えるようにします。
② CFP 算定報告書の作成
CFP の算定結果や算定方法をまとめた CFP 算定報告書を作成します。CFP 算定報告書は社内・社外と様々な読者を想定した20 の記載項目が定められています(必ずしも公開する必要はありません)。
(2) 表示・開示の実施
① ターゲット・訴求ポイントの決定
CFP の伝え方、使用するツール・媒体を検討します。その際、CFP の目的を達成するためには「誰に(ターゲット)」、「何を(訴求内容)」伝えることが効果的かを考えながら検討を進めます。
② 表示・開示の実行
CFP 表示のためのツールなどの制作を行います。本項目では、実際の表示事例が示されています。
CFP 削減対策の検討は、以下のような流れで行います。
本実践ガイドでは、CFP は一度算定して終わりではなく、CFP の目的や社会の要請に合わせ、重要な排出源に対してはプロセスの分解を細かくする、1 次データ取得に取り組む範囲を拡大する、他社と協働して製品別算定ルールを作成する、算定製品を拡大する、第三者検証を実施するなど、アップデートしていくことが重要であると述べて締めくくられています。
さらに、Appendix(付録)として、算定担当者向けに、実務上の注意点とモデル事業における各社の実践内容を紹介しています。
前述のとおり、本コラムでは、説明の一部を抜粋して紹介しているに過ぎず、実際の算定や、CFP 実践の各工程における詳細な情報の確認等にあたっては、経済産業省や環境省のホームページで公開されている、本実践ガイドをご確認ください。
環境省HP 「カーボンフットプリント ガイドライン」 (別冊)CFP実践ガイドの公表について
以上、「カーボンフットプリント ガイドライン」の別冊であるCFP 実践ガイドの概要をご紹介いたしました。
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