静脈ゼミナール 許可証編 2022年4月13日

産業廃棄物処理業の許可証について

 前回は、産業廃棄物処理業の許可制度についてご紹介しました。今回は、産業廃棄物処理業許可証の記載事項をはじめとした基本的な内容について触れていきます。

産業廃棄物処理業の許可証における記載内容

 収集運搬業の許可証を例にして見ていきましょう。まずは、その業許可証が産業廃棄物のものなのか、特別管理産業廃棄物のものなのか、そして収集運搬業なのか処分業なのかを確認することができます。通常の産業廃棄物の収集運搬業許可証の場合は、「産業廃棄物収集運搬業許可証」と記載されています。

 業許可証のタイトルの下には、その業許可を受けた処理業者の氏名または名称、住所が記載されています。ここから、委託する処理業者の名称や住所と合致しているかを確認することができます。

 さらにその下には、その業許可を与えた自治体の名称が記載されており、都道府県知事等の押印があります。収集運搬業許可の場合、処理を委託する産業廃棄物がどこから排出されるのか、そしてどこの荷卸し地に運ばれるのかによって、必要な自治体の業許可証が変わります。また、業許可証を発出する主体は必ずしも都道府県知事や政令市長とは限らず、保健所の責任者や振興局の責任者が代理をしている場合もあります。

 続いて、業許可の有効期間が記載されています。その業許可が発出された年月日と有効期限である年月日がそれぞれ記されており、処理を委託する際には、その業許可の有効期間内であるかどうかが確認できます。業許可は通常5年または7年の間有効であり、その後更新手続きを経て有効期限が延長されます。ちなみに、更新手続き中は、たとえその業許可の有効期限が切れていた場合であっても、なおその効力を有します。

 業許可証の下段には、事業の範囲をはじめとする業許可の具体的内容があります。事業の範囲欄には、廃棄物処理法で規定されている「燃え殻」や「汚泥」、「廃油」などの20の廃棄物種類が記されているほか、廃棄物種類の限定や排出事業者の限定、性状の限定といった限定条件が記載されている場合もあります。ここから、委託する産業廃棄物の種類が許可品目に含まれてるかどうかが確認できます。

 また、委託する処理経路において積替え保管を行う場合があります。積替え保管は、収集運搬をする過程で、積替えのために一時的に保管を行うことで、輸送効率を高めたり運搬手段を変更したりするために行われます。その場合は、対象の業者が積替え保管の許可を有しているかどうかや、積替え保管施設所在地、保管上限なども併せて確認することができます。

 そのほかに、業許可を一意に特定するための許可番号や、許可の条件、更新や変更の状況などの事項が記載されています。

産業廃棄物収集運搬業許可証の例

 業許可は、事業を行う地域で取得します。そのため、処理業者の本社が置かれている自治体と許可を受けている自治体が異なる場合もあります。

優良産廃処理業者の認定制度

 優良産廃処理業者の認定制度は、通常の許可基準よりも厳しい基準に適合した優良な産廃処理業者を、都道府県や政令市が審査して認定する制度です。平成22年度に廃棄物処理法が改正され、平成23年4月1日より運用を開始しています。

 この認定を受けるためには、申請者は以下の5つの基準に適合しなければなりません。

  ①遵法性
  ②事業の透明性
  ③環境配慮の取り組み
  ④電子マニフェスト
  ⑤財務体質の健全性

 これらの基準に適合し優良認定を受けると、産業廃棄物処理業の許可の有効期間が、通常の5年から最長7年に延長されます。

 委託先の処理業者が優良認定を受けている場合、業許可証の右上に「優良」マークが記されています。

優良産廃処理業者の認定制度

 自分が排出した廃棄物を適正に処理する責任を負う排出事業者にとっては、遵法性や事業の透明性が担保された処理業者へ委託することで、不適正処理に繋がるリスクを回避することができます。また、処理業者にとっても、この制度を通じて遵法性や事業の透明性だけでなく、環境配慮の面でも排出事業者へPRすることができます。

 優良認定を受けている処理業者の情報は、「優良さんぱいナビ」や「さんぱいくん」などの検索サイトから確認することができます。

この記事の作成者

株式会社JEMS つくば本社
担当: 鮏川(すけがわ)
URL: https://www.j-ems.jp/

上記記事の参考引用サイト

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