静脈ゼミナール 委託契約書編「積替え保管」  2022年6月8日

「積替え保管」契約書の書き方(2/2)【静脈ゼミナール】

 産業廃棄物処理委託契約書とは、産業廃棄物の排出事業者と処理業者の間で締結される、廃棄物の運搬や処分の委託に関する契約書です。廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)により、その作成・保存義務に加え、その契約書に記載されるべき内容が細かく定義されています。

 本トピックでは東京都が公開するひな形を参考に、積替え保管を伴う場合の実践的な契約書の書き方を全2回に分けて解説いたします。

 1回目はこちら:「積替え保管」契約書の書き方(1/2)

 また、本コラムでは過去に東京都ひな形を使った、委託契約書の基本的な記入方法を解説しております。併せてご参照ください。

 東京都ひな形:東京都環境局公式サイト
 委託契約書の基本的な書き方:「産業廃棄物処理委託契約書の書き方 基礎編(1/2)」

積替え保管の委託

 積替え保管を経緯する運搬委託の場合は、運搬のみを委託する場合と、積保と運搬の両方を委託する場合があります。

 下図1 の例では、X社とは運搬のみを委託。Y社とは積保と運搬の両方の委託を行う事となります。

■図1

 積替え保管施設は、様々な形態がありますが、廃棄物物流の中継をおこなうために、倉庫やヤードの様な機能を持った施設になります。
 
 積替え保管施設では、保管基準と収集・運搬基準に則した保管が求められますが、これら基準については、盛岡市のHPにまとめられていますので参考にして下さい。
  ご参考(保管基準等):盛岡市公式サイト

積替え保管場所からの運搬契約の書き方

 前回のコラムでは、積替え保管場所までの運搬契約の記載方法を解説しました。
 今回は、積替え保管場所からの運搬契約(上記図1では、Y社との委託契約)の記載方法を解説します。
 
 東京都モデル契約書では、「収集運搬用(区間委託2)」を活用して契約書を作成します。

(画像引用)東京都環境局公式サイト (画像の一部を加工しています)

 東京都ひな形における積替え保管契約においては、「廃棄物の受渡し等」欄があり、積替え保管を含む運搬経路を記載し、この契約書の当事者は誰なのかを備考列に「甲」「乙」として明示する方式になっています。
 今回は第2運搬区間の委託となりますので、「区間2運搬業者」の備考欄に乙を記載します。

 この欄では、積替え保管を誰が行うのか、ではなく各運搬区間ごとの当事者と、本契約書が誰と誰の契約書なのかを明示することが目的となります。

(画像引用)東京都環境局公式サイト 産業廃棄物委託契約モデル契約書記入例 (画像の一部を加工しています)

 

「積込み場所の事業場名称及び区分」では荷積み地について、本コラムの記載例では積替え保管施設からの運搬である為「積替え保管施設」と記載します。


 備考欄に、「※積替え保管を行う場所」の記載欄があります。こちらは、積替え保管を委託する場合の法定記載事項を記入する欄になっております。

 本コラムでは、Y社が積替え保管を行う委託内容である為、Y社の情報を記載しますが、 積替え保管を委託する場合の法定記載項目は以下の通りとなります。

   1 積替え保管場所の所在地
   2 保管できる廃棄物種類
   3 保管上限
   4 安定型産業廃棄物の場合は、他の廃棄物と混合する事の許否

 仮に、複数の積替え保管施設に委託する場合は、施設ごとに分けて記載します。
 
 尚、廃棄物種類や保管上限などは許可証に記載されているので、契約書を記載する際は、許可証を参照しながら記載してください。

(画像引用)東京都環境局公式サイト 産業廃棄物委託契約モデル契約書記入例 (画像の一部を加工しています)

【参考】積替え保管委託契約に関する法定記載項目


四 産業廃棄物の運搬に係る委託契約にあつては、受託者が当該委託契約に係る産業廃棄物の積替え又は保管を行う場合には、当該積替え又は保管を行う場所の所在地並びに当該場所において保管できる産業廃棄物の種類及び当該場所に係る積替えのための保管上限
五 前号の場合において、当該委託契約に係る産業廃棄物が安定型産業廃棄物であるときは、当該積替え又は保管を行う場所において他の廃棄物と混合することの許否等に関する事項

引用元廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則 第八条の四の二 第四号、第五号

 


 「積替え保管」契約の書き方(全2回)は以上となります。
 
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この記事の作成者

株式会社JEMS
担当: 深山
URL: https://www.j-ems.jp/

上記記事の参考引用サイト

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