静脈ゼミナール マニフェスト編 2022年7月4日

電子マニフェスト登録の流れについて【静脈ゼミナール】

 電子マニフェスト制度とは、日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が提供しているシステム「JWNET」を通じて、委託する産業廃棄物の処理の流れをネットワーク上で管理することができる仕組みのことです。電子マニフェストを利用する場合、排出事業者は紙マニフェストの交付が不要になるほか、交付したマニフェストの保存や行政報告といった義務も不要になります。

 今回のトピックでは、電子マニフェストの登録の流れについてご説明します。なお、マニフェストの法定記載事項や紙マニフェストの交付の流れなどについては、ぜひ過去の記事をご参考にしていただければ幸いです。

 産業廃棄物管理票(マニフェスト)について
 マニフェスト交付の流れについて

JWNETを通じて廃棄物の委託状況を管理する

 電子マニフェストを使用する場合、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が提供しているシステム「JWNET」上で、マニフェスト情報の登録や処理状況の確認などを行います。JWセンターは、廃棄物処理法において「情報処理センター」として環境大臣指定を受けている機関であり、電子マニフェストを使用する排出事業者は、すべてJWNETを通じてマニフェスト情報を管理します。

環境大臣は、一般社団法人又は一般財団法人であつて、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国を通じて一個に限り、情報処理センターとして指定することができる。

引用元廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第十三条の二第一項(2022年6月現在)

 また、排出事業者が電子マニフェストを使用する場合、産業廃棄物の処理を受託した収集運搬業者や処分業者もJWNETへ加入し、処理の終了報告を行います。

電子マニフェストのメリット

 電子マニフェストを利用する場合、排出事業者は紙マニフェストの交付が不要になります。それ以外にも、委託した産業廃棄物の処理状況をシステムから任意のタイミングで確認することができるほか、紙マニフェストを運用する場合には排出事業者自身が行う必要のある5年間の保存や年に一回の行政報告も不要になります。

 また、処理業者においても、処理が終了した際に排出事業者へ紙マニフェストを返送する手間を省くことができます。

電子マニフェストの登録の流れ

 本記事では、一次マニフェスト(排出事業者から中間処理業者までのマニフェスト)、かつ積替え保管を経由しない直行経路における処理の流れを想定して電子マニフェストの登録の流れを見ていきます。また、排出事業者による自己運搬や自己処分はせず、収集運搬・処分ともに処理を委託することを想定します。

 まず、排出事業者は情報処理センターへマニフェスト情報を登録します。マニフェスト情報は、産業廃棄物を収集運搬業者へ引き渡した後、3日以内に登録します。

 排出事業者から産業廃棄物を引き渡された収集運搬業者は、運搬が終了した後、3日以内に情報処理センターへ運搬が終了した旨を報告します。その後、情報処理センターから排出事業者へ、運搬が終了した旨が通知されます。

 収集運搬業者から産業廃棄物を引き渡された処分業者は、処分が終了した後、3日以内に情報処理センターへ処分が終了した旨を報告します。その後、情報処理センターから排出事業者へ、処分が終了した旨が通知されます。また、最終処分業者による処分が終了した旨を処分業者が報告した後には、情報処理センターから排出事業者へ、最終処分終了が通知されます。

 紙マニフェストを運用する場合、排出事業者は産業廃棄物の引渡しと同時に収集運搬業者や処分業者へ交付し、また収集運搬業者や処分業者は、運搬や処分が終了した日から10日以内に排出事業者へ送付しなければいけないと規定されています。他方、電子マニフェストを運用する場合には、排出事業者、収集運搬業者、処分業者のいずれも、産業廃棄物の引渡しや処理の終了から3日以内に登録や終了報告を行う必要があります。

 紙マニフェストの交付の流れの詳細は、過去の記事をご参照ください。
 マニフェスト交付の流れについて

第八条の三十一の六 法第十二条の五第一項及び第二項の環境省令で定める期間は、三日(日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日、一月二日、一月三日及び十二月二十九日から十二月三十一日までの日(以下「休日等」という。)を除く。)とする。

引用元廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則 第八条の三十一の六(2022年7月現在)

第八条の三十四 法第十二条の五第三項の環境省令で定める期間は、運搬又は処分を終了した日から三日(休日等を除く。)とする。

引用元廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則 第八条の三十四(2022年7月現在)

 なお、この登録や終了報告の期限として定められている「3日以内」には、土日や祝日、年末年始は含まれません。

 たとえば、12月24日(金)に産業廃棄物を排出し収集運搬業者へ引き渡す場合、その翌日から、土日祝日や年末年始の期間を除いた3日目にあたる、翌年の1月4日(火)が登録の期限となります。

 排出事業者は、マニフェストを登録した日から90日(特別管理産業廃棄物の場合は60日、最終処分の場合は180日)以内に収集運搬業者や処分業者から処理の終了報告を受けていない場合は、委託した産業廃棄物の処理状況を把握し、行政へ報告書を提出する必要があることとされています。こちらは紙マニフェストを運用する場合と同様になります。

第八条の三十七 法第十二条の五第十項の環境省令で定める期間は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるものとする。
一 法第十二条の五第三項の規定による報告 登録の日から九十日(特別管理産業廃棄物に係る登録にあつては、六十日)
二 法第十二条の五第四項の規定による報告 登録の日から百八十

引用元廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則 第八条の三十七(2022年7月現在)

第八条の三十八 電子情報処理組織使用義務者又は電子情報処理組織使用事業者は、法第十二条の五第十一項に規定するときは、生活環境の保全上の支障の除去又は発生の防止のために必要な措置を講ずるとともに、次の表の上欄の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる報告期限までに、様式第五号による報告書を都道府県知事に提出するものとする。

引用元廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則 第八条の三十八(2022年7月現在)

 マニフェスト情報の登録期限や終了報告期限、処理状況の確認期限などをまとめると、下記のようになります。

廃棄物区分 登録期限 終了報告期限 確認期限 措置内容等報告期限
産業廃棄物 3日以内(休日等を除く) 3日以内(休日等を除く) 90日以内(最終処分は180日以内) 30日以内
特別管理産業廃棄物 3日以内(休日等を除く) 3日以内(休日等を除く) 60日以内(最終処分は180日以内) 30日以内




 以上、電子マニフェストの登録の流れについてご紹介しました。

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この記事の作成者

株式会社JEMS つくば本社
担当: 鮏川(すけがわ)
URL: https://www.j-ems.jp/

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