措置内容等報告とは、委託した産業廃棄物が適切に処理されていない場合、またはそのおそれがある場合に、排出事業者が講ずる必要のある措置の内容について、都道府県または政令市の長に報告することです。
今回のトピックでは、どのような場合に措置内容等報告書が必要になるのか、具体的にご紹介します。
また、過去の記事ではマニフェストの法定記載事項や交付・登録の流れなどについてもご紹介しています。ぜひご参考にしてみてください。
産業廃棄物管理票(マニフェスト)について
マニフェスト交付の流れについて
電子マニフェスト登録の流れについて
委託した産業廃棄物が適切に処理されていない場合やそのおそれがある場合には、排出事業者はその処理状況を速やかに把握し、適切な措置を講ずる必要があると、廃棄物処理法で規定されています。
紙マニフェストを運用した場合については、法第十二条の三第八項に、電子マニフェストを運用した場合については、法第十二条の五第十一項においてそれぞれ定められています。
8 管理票交付者は、環境省令で定める期間内に、第三項から第五項まで若しくは第十二条の五第六項の規定による管理票の写しの送付を受けないとき、これらの規定に規定する事項が記載されていない管理票の写し若しくは虚偽の記載のある管理票の写しの送付を受けたとき、又は第十四条第十三項、第十四条の二第四項、第十四条の三の二第三項(第十四条の六において準用する場合を含む。)、第十四条の四第十三項若しくは第十四条の五第四項の規定による通知を受けたときは、速やかに当該委託に係る産業廃棄物の運搬又は処分の状況を把握するとともに、環境省令で定めるところにより、適切な措置を講じなければならない。
11 電子情報処理組織使用義務者又は電子情報処理組織使用事業者は、前項の規定による通知を受けたとき、第五項の規定により通知を受けた第三項若しくは第四項の規定による報告が虚偽の内容を含むとき、又は第十四条第十三項、第十四条の二第四項、第十四条の三の二第三項(第十四条の六において準用する場合を含む。)、第十四条の四第十三項若しくは第十四条の五第四項の規定による通知を受けたときは、速やかに当該通知に係る産業廃棄物の運搬又は処分の状況を把握するとともに、環境省令で定めるところにより、適切な措置を講じなければならない。
電子マニフェストの場合、適切な措置を講ずるべき状況が発生したときには、JWセンターから排出事業者へその旨の通知が送られます。
適切な措置が講じられた後には、排出事業者はその措置内容について報告書にまとめ、都道府県または政令市の長に提出します。報告書の様式も廃棄物処理法で規定されており、e-Gov法令検索や、各都道府県や政令市の公式HP上などからダウンロードすることができます。
様式第四号(第八条の二十九関係) …紙マニフェストの場合
様式第五号(第八条の三十八関係) …電子マニフェストの場合
では、委託した産業廃棄物が適切に処理されていない場合やそのおそれがある場合に、排出事業者は具体的にどのような措置が必要なのでしょうか?
排出事業者が講ずるべき措置内容については、廃棄物処理法の施行規則(第八条の二十九または第八条の三十八)に規定されています。たとえば、交付したマニフェストが期限内に返送されない場合や、返送されたマニフェストに記載漏れや虚偽の記載があった場合などがあります。
報告の対象となる措置内容とその報告期限を、紙・電子マニフェストごとに下記の通りまとめます。
報告の対象(紙マニフェストの場合) | 報告の対象(電子マニフェストの場合) | 報告期限 |
---|---|---|
マニフェストのB2票とD票が、交付日から90日(特別管理産業廃棄物は60日)以内に返送されない場合 | 運搬または処分の終了報告が、登録日から90日(特別管理産業廃棄物は60日)以内に行われない場合 | 左記の期間が経過した日から30日以内 |
マニフェストのE票が、交付日から180日以内に返送されない場合 | 最終処分の終了報告が、登録日から180日以内に行われない場合 | 左記の期間が経過した日から30日以内 |
返送されたマニフェストに法定記載事項の記載漏れがあった場合 | ー | マニフェストを返送を受けた日から30日以内 |
返送されたマニフェストに虚偽の記載があった場合 | 運搬または処分の終了報告に虚偽の記載があった場合 | 虚偽の記載があることを知った日から30日以内 |
委託した処理業者から、処理を適正に行うことが困難となる、またはそのおそれがある旨の通知を受けた場合 | 委託した処理業者から、処理を適正に行うことが困難となる、またはそのおそれがある旨の通知を受けた場合 | 左記の通知を受けた日から30日以内 |
本来であれば委託した産業廃棄物が適切に処理されることが望ましいものの、万が一マニフェストの未返送や記載漏れ、虚偽記載等があった場合には、生活環境保全上の支障の除去や発生防止のために、期限以内に然るべき措置を講ずることが、排出事業者責任を全うするうえで必要になるでしょう。
以上、措置内容等報告についてご紹介しました。
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