静脈ゼミナール マニフェスト編 2022年10月25日

マニフェストの交付が不要になる場合とは【静脈ゼミナール】

 産業廃棄物の処理を他者に委託する場合、排出事業者は原則としてマニフェストの交付や登録が必要となります。しかし、国や都道府県等に処理を委託する場合や、特定の事業者に処理を委託する場合には、例外的にマニフェストの交付や登録が不要になります。

 今回のトピックでは、マニフェストの交付や登録が不要になるケースについてご紹介します。

 また、下記ではマニフェストの概要や、交付・登録の流れなどについてもご紹介しています。併せてご覧ください。

 産業廃棄物管理票(マニフェスト)について
 マニフェスト交付の流れについて
 電子マニフェスト登録の流れについて

どのような場合にマニフェストの交付が不要になる?

 廃棄物処理法では、排出事業者が産業廃棄物の処理を他者に委託する際には、原則としてマニフェストの交付や登録が必要であると規定されています。しかし、同法第十二条の三に記載されているとおり、環境省令で定める特定の事業者へ処理を委託する場合は、例外的にマニフェストの交付や登録が不要になります。

第十二条の三 その事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者(略)は、その産業廃棄物(略)の運搬又は処分を他人に委託する場合(環境省令で定める場合を除く。)には、環境省令で定めるところにより、当該委託に係る産業廃棄物の引渡しと同時に当該産業廃棄物の運搬を受託した者(略)に対し、当該委託に係る産業廃棄物の種類及び数量、運搬又は処分を受託した者の氏名又は名称その他環境省令で定める事項を記載した産業廃棄物管理票(略)を交付しなければならない。

引用元廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第十二条の三第一項(2022年9月現在)



 「環境省令で定める場合」については、同法施行規則第八条の十九において規定されており、具体的には下記の者へ産業廃棄物の処理を委託する場合には、マニフェストの交付や登録が不要になります。

産業廃棄物管理票の交付や登録が不要となる場合
1. 市町村や都道府県に処理を委託する場合(産業廃棄物の処理をその事務として行う場合に限る)
2. 廃油処理事業を行う港湾管理者または漁港管理者に、廃油の処理を委託する場合
3. 専ら物の処理を専ら業者へ委託する場合
4. 再生利用認定制度の認定を受けた者に、その認定に係る産業廃棄物の処理を委託する場合
5. 広域認定制度の認定を受けた者に、その認定に係る産業廃棄物の処理を委託する場合
6. 再生利用に係る都道府県知事の指定を受けた者に、その指定に係る産業廃棄物の処理を委託する場合
7. 国に処理を委託する場合
8. 運搬用パイプラインやこれに直結する処理施設を用いて産業廃棄物の処理を行う者に、処理を委託する場合
9. 産業廃棄物の輸出に係る運搬を行う者に、日本から相手国までの産業廃棄物の運搬を委託する場合
10. 海洋汚染防止法の規定により許可を受けて廃油処理事業を行う者に、外国船舶から生じた廃油の処理を委託する場合



 上記のほかにも、そもそも取引の対象となるものが有価物である場合や産業廃棄物を自ら処理する場合は、マニフェストの運用は不要になります。

 なお、再生利用認定制度や広域認定制度といった環境大臣が認定する制度の中には、無害化処理認定制度もあります。この制度は、石綿含有産業廃棄物やその他人体や環境に影響を及ぼす可能性のある産業廃棄物を無害化するための制度であることから、再生利用認定制度や広域認定制度とは異なり、マニフェストの運用が必要なりますのでご留意ください。


 以上、マニフェストの交付や登録が不要になるケースについてご紹介しました。
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この記事の作成者

株式会社JEMS つくば本社
担当: 鮏川(すけがわ)
URL: https://www.j-ems.jp/

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