専ら業者とは、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集運搬や処分を業として行う業者のことです。産業廃棄物の収集運搬や処分を業として行う場合、処理業者は原則として、管轄自治体から処理業の許可を受ける必要があります。しかし、この専ら業者に該当する場合には、例外的に処理業の許可が不要で業を行うことができます。
今回のトピックでは、専ら業者についてご紹介します。
産業廃棄物処理業の許可制度に関する基本的な事項については、ぜひ下記の記事をご参考にしてください。
産業廃棄物処理業の許可制度と許可権者について
廃棄物処理法第十四条第一項および第六項で規定されている通り、産業廃棄物の収集運搬や処分を業として行う場合、処理業者は業を行う区域を管轄する自治体から、収集運搬業や処分業の許可を受ける必要があります。
しかし、同条ただし書きで記載されているように、「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集運搬や処分を業として行う者」に該当する場合には、業許可不要で産業廃棄物の収集運搬や処分を業として行うことができます。
第十四条 産業廃棄物(略)の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(略)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、(略)専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。
6 産業廃棄物の処分を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、(略)専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの処分を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。
そして、この「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集運搬や処分を業として行う者」のことを、一般に「専(もっぱ)ら業者」と呼びます。専ら業者による業許可不要の例外規定は、産業廃棄物だけではなく一般廃棄物においても適用されています。(法第七条第一項および第六項)
それでは、「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物」とは、具体的にどのような廃棄物を指すのでしょうか。環境省(旧厚生省)が昭和46年に発出した通知によれば、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物とは、下記の4種類であると定義されています。
▼専ら再生利用の目的となる産業廃棄物
①古紙 …紙くず
②くず鉄(古銅等を含む) …金属くず
③あきびん類 …ガラスくず
④古繊維 …繊維くず
(2) 産業廃棄物の処理業者であっても、もっぱら再生利用の目的となる産業廃棄物、すなわち、古紙、くず鉄(古銅等を含む)、あきびん類、古繊維を専門に取り扱っている既存の回収業者等は許可の対象とならないものであること。
そして、上記4種類で構成される「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物」は、「専(もっぱ)ら物」と呼ばれます。専ら業者へ産業廃棄物の処理を委託する際には、委託する産業廃棄物の種類が、上記4種類のいずれかに該当している必要があります。
排出事業者が専ら業者へ産業廃棄物の処理を委託するとき、委託先処理業者の業許可が不要であることは前述の通りですが、それ以外にも、マニフェストの交付義務が不要となる特例もあります。(規則第八条の十九)
(産業廃棄物管理票の交付を要しない場合)
第八条の十九 法第十二条の三第一項(法第十五条の四の七第二項において準用する場合を含む。以下同じ。)の環境省令で定める場合は、次のとおりとする。
(略)
三 専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集若しくは運搬又は処分を業として行う者に当該産業廃棄物のみの運搬又は処分を委託する場合
マニフェスト交付の不要特例については、下記の記事でもご紹介しております。併せてご覧ください。
マニフェストの交付が不要になる場合とは
さらに、専ら業者は産業廃棄物処理業の許可を受けた者である「収集運搬業者」や「処分業者」に該当しないため、産業廃棄物の処理基準を遵守する義務もありません。(法第十四条第十二項)
12 第一項の許可を受けた者(以下「産業廃棄物収集運搬業者」という。)又は第六項の許可を受けた者(以下「産業廃棄物処分業者」という。)は、産業廃棄物処理基準に従い、産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を行わなければならない。
なお、専ら業者へ処理を委託する場合であっても、産業廃棄物の処理を委託することには変わらないため、委託契約書の締結は必要です。また、委託契約書の法定記載事項である「受託業務終了時の受託者の委託者への報告に関する事項」(規則第八条の四の二第八号)は、マニフェストで代えることができる項目ですが、専ら業者へ委託する際にはマニフェストが不要となるため、それ以外の方法で業務終了報告を行うことが求められます。
以上、専ら業者についてご紹介しました。
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