静脈ゼミナール 2022年12月12日

廃棄物の下取りとは【静脈ゼミナール】

 下取りとは、「1. 新しい製品を販売する際」に、「2. 商慣習」として「3. 同種の製品で使用済みのもの」を「4. 無償」で引き取り、収集運搬することです。使用済み製品の製造事業者や販売事業者がこれらの要件を満たしたうえで下取りを行うとき、産業廃棄物収集運搬業の許可が不要で製品の回収を行うことができます。

 今回のトピックでは、廃棄物の下取り行為についてご紹介します。

下取りの要件

 下取りとは、使用済み製品の製造事業者や販売事業者がユーザーから当該製品を回収する際に行われる、下記の要件を満たした行為のことです。

 ▼下取りの要件(環境省通知より一部抜粋)
  1. 新しい製品を販売する際に引き取ること
  2. 商慣習として行われていること
  3. 引き取る製品は、販売する製品と同種の製品で使用済みのものであること
  4. 無償で引き取ること

 下取りについては、廃棄物処理法上では特段触れられているわけではないものの、環境省から発出された通知においてその要件が示されています。

新しい製品を販売する際商慣習として同種の製品で使用済みのもの無償で引き取り、収集運搬する下取り行為については、産業廃棄物収集運搬業の許可は不要であること。

引用元環境省通知 環循規発第2003301号 令和2年3月30日 第一 15 (2) p.13(2022年12月現在)

下取りに該当しない場合

 前述の通り、下取りに該当するには環境省の通知で示される諸要件を満たしている必要があります。たとえば、使用済み製品の回収時に新しい製品が販売されない場合や、使用済み製品と新しい製品の種類や数量等が明らかに異なる場合、使用済み製品の回収時に処分費用や回収費用等を徴収した場合は、下取りには該当しません。

 一方で、前述の「1. 新しい製品を販売する際に引き取ること」については、商品の販売と引き取りとのタイミングに社会通念上許容されるタイムラグがあってもよいとするなど、一定程度の許容範囲も設けられています。

 下取りへの該当性における具体的な判断基準については、大阪府をはじめとした自治体のHP上でも詳細に解説されていますので、併せてご参考にしてください。
 大阪府HP
 

下取りをした販売事業者が排出事業者に

 下取り行為によって販売事業者が使用済み製品をユーザーから回収した場合、排出事業者は当該製品のユーザーではなく、下取りを行った販売事業者となります。この時、当該販売事業者は産業廃棄物処理業の許可が不要で回収を行うことが可能となる一方で、排出事業者責任の下、廃棄物処理法の規定に則り適正に自社処理または委託処理を行うことが必要になります。委託処理を行う場合は、委託基準の遵守やマニフェストの交付が必要となります。

 また排出事業者責任の主体が下取りを行った販売事業者に移ったことから、使用済み製品のユーザーにおいては、委託処理に伴う委託基準の遵守やマニフェストの交付は不要となります。

 以上、廃棄物の下取り行為についてご紹介しました。
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この記事の作成者

株式会社JEMS つくば本社
担当: 鮏川(すけがわ)
URL: https://www.j-ems.jp/

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