静脈ゼミナール 保管基準編 2023年3月8日

産業廃棄物の保管基準とは

 産業廃棄物の保管基準とは、廃棄物処理法で定められた、産業廃棄物を保管する際に排出事業者や処理業者が遵守する基準のことです。保管場所の周囲への囲いの設置や、見やすい箇所への掲示板の設置などの基準が設けられています。

 今回のトピックでは、排出事業者が遵守すべき産業廃棄物の保管基準についてご説明します。

廃棄物処理法上の定義

 廃棄物処理法では、排出事業者が行う産業廃棄物の保管について下記のように規定されています。

2 事業者は、その産業廃棄物が運搬されるまでの間、環境省令で定める技術上の基準(以下「産業廃棄物保管基準」という。)に従い、生活環境の保全上支障のないようにこれを保管しなければならない。

引用元廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第十二条第二項(2023年1月現在)



 「環境省令で定める技術上の基準」については、同法施行規則(第八条)において具体的な規定があります。次の章では、産業廃棄物の保管基準についてさらに見ていきましょう。

具体的な保管基準

 施行規則では産業廃棄物保管基準として、周囲への囲いの設置や、保管場所を示す掲示板の設置、産業廃棄物の飛散、流出、悪臭等の防止措置といった項目が定められています。

産業廃棄物の保管基準



 掲示板には保管する産業廃棄物の種類をはじめとした記載事項が設けられているほか、屋外で容器を用いずに保管する場合における廃棄物の高さ制限などもあります。

掲示板の記載事項(屋外において産業廃棄物を容器を用いずに保管する場合)
積み上げられた産業廃棄物の高さに関する制限(屋外において産業廃棄物を容器を用いずに保管する場合)

事業場外保管に関する規定

 排出事業者が、建設工事に伴って排出される産業廃棄物を排出事業場以外の場所で自ら保管する場合は、事前に都道府県知事や政令市長への届出が必要となります。

3 事業者は、その事業活動に伴い産業廃棄物(環境省令で定めるものに限る。次項において同じ。)を生ずる事業場の外において、自ら当該産業廃棄物の保管(環境省令で定めるものに限る。)を行おうとするときは、非常災害のために必要な応急措置として行う場合その他の環境省令で定める場合を除き、あらかじめ、環境省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。その届け出た事項を変更しようとするときも、同様とする。

引用元廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第十二条第三項(2023年1月現在)

(産業廃棄物の保管の届出の対象となる産業廃棄物)
第八条の二 法第十二条第三項前段の環境省令で定める産業廃棄物は、建設工事(法第二十一条の三第一項に規定する建設工事をいう。以下同じ。)に伴い生ずる産業廃棄物とする。

引用元廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則 第八条の二(2023年1月現在)



 ただし、対象となる保管場所の面積が300㎡以上であることや、下記の場合は届出の対象とならないなど細かい規定もあります。
 
 ▼届出の対象とならない保管(施行規則第八条の二の二)
  ・産業廃棄物処理業の許可を受けた施設(保管の場所を含む)で行われる保管
  ・産業廃棄物の処理施設設置許可を受けた施設で行われる保管
  ・二以上の事業者による産業廃棄物の処理に係る特例の認定を受けた者が行う、当該認定に係る保管
  ・PCB特別措置法第八条の規定による届出に係る、PCB廃棄物の保管


 保管する産業廃棄物が上記に該当するかどうかは、廃棄物処理法で規定された要件を踏まえて、届出の要否をご確認ください。


 以上、産業廃棄物の保管基準についてご説明しました。
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この記事の作成者

株式会社JEMS つくば本社
担当: 鮏川(すけがわ)
URL: https://www.j-ems.jp/

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