2025年4月22日、廃棄物処理法の施行規則が改正されました。
今回改正されたのは、以下の2点になります。
■改正内容1.
委託契約書の法定記載事項の追加
《改正される条文》
施行規則第8条の4の2第6号(委託契約書に含まれるべき事項)
《内容》
第一種指定化学物質等取扱事業者が委託者である場合には、委託契約書に含まれるべき事項として、「委託する産業廃棄物に同条第二項に規定する第一種指定化学物質が含まれ、又は付着している場合には、その旨並びに当該産業廃棄物に含まれ、又は付着している当該物質の名称及び量又は割合」を追加する。
《スケジュール》
令和8年(2026年)1月1日施行
《背景》
平成29年の中央環境審議会の意見具申では、廃棄物処理の委託時における情報伝達の一層の推進が課題となっており、廃棄物の処理過程における安全性及び適正処理の確保の観点から、関連法令で規制されている物質を含む廃棄物について、より具体的な情報提供を義務付けるべきと見直しの方向性が示されました。
今回は国が検討会を設置し、検討を行い、改正の運びとなりました。
■改正内容2.
電子マニフェストの項目追加
《改正される条文》
① 第8条の34の3の2(処分受託者の情報処理センターへの再生に係る報告)
② 第8条の34の4(情報処理センターの電子情報処理組織使用義務者又は電子情報処理組織使用事業者への通知)
③ 第8条の36(情報処理センターによる報告)
《内容》
① 処分受託者による再生に係る情報の報告
処分受託者が法第12条の5第3項及び第4項の規定により情報処理センターに報告を行うときは、その受託した産業廃棄物について最終処分又は再生を行うまでのすべての処分について、各処分ごとに
・処分を行った者の氏名又は名称及び許可番号
・処分を行った事業場の名称及び所在地
・処分方法
・処分方法ごとの処分量
・処分後の産業廃棄物又は再生された物の種類及び数量 の報告を義務付ける。
② 情報処理センターによる再生に係る情報の通知
情報処理センターが法第 12 条の5第5項の規定により排出事業者に通知を行うときは、従前の通知内容に加えて、再生に係る情報を通知することとする。
③ 情報処理センターによる都道府県知事への報告からの除外
情報処理センターが法第 12 条の5第9項の規定により都道府県知事に報告を行うときは、その報告事項から再生に係る情報を除外する。
《スケジュール》
令和9年(2027年)4月1日施行
《背景》
前述の平成29年の中央審議会の意見具申「廃棄物処理制度の見直しの方向性」で、背景となった食品廃棄物の不正転売事案も踏まえ、排出事業者責任の徹底、産業廃棄物の処理状況の透明性の向上等について、国は指摘を受けました。
また、令和6年2月の中央環境審議会からの意見具申「脱炭素型資源循環システム構築
に向けた具体的な施策のあり方について」においても、資源循環の促進の観点から、電子マニフェストの活用、廃棄物の処理方法や再生材の供給量などの情報収集の重要性を国は指摘されました。
これらを踏まえ国としては、排出事業者が廃棄物処理の全体像を把握することによって、排出事業者責任を貫徹するとともに、電子マニフェスト情報の活用により資源循環の促進を図るための取組を行う必要があるとして、今回の改正に至りました。
改正内容2.については、パブリックコメント前の環境省側の会議資料にて、改正概要がまとめられていますので、そちらも合わせてご参照ください。
2024年12月13日、中央環境審議会循環型社会部会(第58回)配付資料
特に電子マニフェストの項目追加は、廃棄物の適正処理からサーキュラーエコノミー社会の実現に向けて、法制度の大きな変更になり得ます。
排出事業者の皆様におかれてはシステム実装など、今後の動向にぜひ注目ください。