コラム 2023年5月10日

デジタル原則を踏まえた現地確認等についての通知が発出されました【コラム】

 2022年6月に開かれたデジタル臨時行政調査会等で、目視規制や定期検査・点検規制、実地監査規制といった代表的な7つのアナログ規制項目について見直しが検討されてきました。これを受けて、2023年3月31日、環境省から、廃棄物処理法で規定される排出事業者の処理状況の確認をはじめとする規制に関して、同法の趣旨に則っているのであればデジタル技術を活用することも可能である旨の通知が発出されました。

 詳細については、環境省のホームページをご確認ください。
 環境省HP デジタル原則を踏まえた廃棄物処理法等の適用関係

排出事業者の処理状況の確認について

 廃棄物処理法第十二条第七項では、排出事業者が産業廃棄物の処理を他人に委託する場合には、処理の状況に関する確認を行い、最終処分が終了するまでの一連の処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならないこととされています。

7 事業者は、前二項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、当該産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

引用元廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第十二条第七項(2023年5月現在)

 

 この処理状況に関する確認(現地確認)について、このたび発出された通知では、廃棄物の処理が適正に行われていることを実質的に確認することができると認められるのであれば、実地に赴いて確認することに限られず、デジタル技術を活用して確認することも可能であるとしています。

 また、具体的な確認方法についても触れています。一例として、電磁的記録による許可内容や帳簿等の情報の確認、オンライン会議システム等を用いた処理施設の稼働状況や周辺環境の確認、情報通信機器を使用して産業廃棄物処理業者への管理体制の聴取を行うことが挙げられています。

 さらに、排出事業者責任の重要性に対する認識や排出事業者と処理業者との直接の関係性が希薄になることがないと認められることを前提として、廃棄物の適正な処理について実質的な確認が可能である場合は、同一の産業廃棄物処理業者に処理を委託している複数の排出事業者が共同して、デジタル技術の活用により廃棄物の処理の状況を確認することは妨げられるものではないとの見解も示しています。

 このたびの通知における解釈の明確化に伴い、「排出事業者責任に基づく措置に係るチェックリスト」も改訂されました。チェックリストは、環境省のホームページからご覧いただくことができます。
 環境省HP デジタル原則を踏まえた廃棄物処理法等の適用関係


 ただし、排出事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理することが原則です。デジタル技術を活用した場合であっても、処理を委託した産業廃棄物の保管状況や実際の処理工程等について、処理業者とコミュニケーションをとりながら確認を行うことや、公開されている情報について不明な点や疑問点があった場合には処理業者に回答を求めることなど、法に基づき適正な処理がなされているかを実質的に確認することが重要であるとしていますので、ご留意ください。

報告及び立入検査について

 都道府県知事等が行う、排出事業者や処理業者の事業場等への立ち入り検査についても見直しが図られています。

 具体的な検査方法としては、たとえば、オンライン会議システム等を活用して廃棄物の処理状況や帳簿書類の内容等を遠隔地から確認や質疑応答を行うこと、ドローン映像により施設の構造等を確認することなどが挙げられています。

 さらに、デジタル技術を活用して遠隔により立入検査を行う場合であっても、廃棄物処理法に基づき、検査をする職員は身分を示す証明書を携帯しなければならないものの、関係人への提示は画面への投影等により行うことも可能であるとされています。

第十九条 都道府県知事又は市町村長は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、事業者、一般廃棄物若しくは産業廃棄物若しくはこれらであることの疑いのある物の収集、運搬若しくは処分を業とする者その他の関係者の事務所、事業場、車両、船舶その他の場所、一般廃棄物処理施設若しくは産業廃棄物処理施設のある土地若しくは建物若しくは第十五条の十七第一項の政令で定める土地に立ち入り、廃棄物若しくは廃棄物であることの疑いのある物の保管、収集、運搬若しくは処分、一般廃棄物処理施設若しくは産業廃棄物処理施設の構造若しくは維持管理若しくは同項の政令で定める土地の状況若しくは指定区域内における土地の形質の変更に関し、帳簿書類その他の物件を検査させ、又は試験の用に供するのに必要な限度において廃棄物若しくは廃棄物であることの疑いのある物を無償で収去させることができる。

引用元廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第十九条第一項(2023年5月現在)

その他の見直しについて

 その他の事項としては、廃棄物処理法第二十一条第一項に基づいた、技術管理者や廃棄物処理責任者の職務の実施について、廃棄物処理施設の適正な管理に支障がないような措置を講ずるなどその職務の遂行の徹底を期すことを前提として、技術管理者の職務は、情報通信機器を用いて遠隔で実施して差し支えないこととしています。

第二十一条 一般廃棄物処理施設(政令で定めるし尿処理施設及び一般廃棄物の最終処分場を除く。)の設置者(市町村が第六条の二第一項の規定により一般廃棄物を処分するために設置する一般廃棄物処理施設にあつては、管理者)又は産業廃棄物処理施設(政令で定める産業廃棄物の最終処分場を除く。)の設置者は、当該一般廃棄物処理施設又は産業廃棄物処理施設の維持管理に関する技術上の業務を担当させるため、技術管理者を置かなければならない。ただし、自ら技術管理者として管理する一般廃棄物処理施設又は産業廃棄物処理施設については、この限りでない。

引用元廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第二十一条第一項(2023年5月現在)

 さらに、許可の申請等においては、電子メール等を利用した書類の提出の活用が推奨されているほか、廃棄物処理施設の設置許可の申請があった際に都道府県知事等が行う書類の縦覧等について、デジタル化を基本とすることとされています。


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この記事の作成者

株式会社JEMS
担当: 鮏川(すけがわ)
URL: https://www.j-ems.jp/

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