産業廃棄物の積替え保管とは、排出事業場から搬出された廃棄物を収集運搬業者が処分場等へ運搬する途中で、一度車両から下し他の車両等へ積替えたり、またはそのために一時保管を行う事を言います。
主に運搬効率の向上やコスト削減、CO2削減等の目的の為に行われる運用で、積替え保管を行う事が認められた許可が必要になります。
読み方は「積替え保管(つみかえほかん)」となります。略して「積保(つみほ)」と呼ばれることもある、産業廃棄物業界独特の名称です。
本トピックでは、積替え保管の概要をご説明いたします。
廃棄物の収集運搬には、積替え保管を行わず処分場に直接運搬する場合(「直行」と呼ばれます)と、途中で1回以上の積替え保管を介して運搬する場合があります。
どのようなケースで積保が運用されるのかというと、例えば
・都市部では複数の排出事業場からの回収を小型の車両で行い、それらをまとめて大きな車両に積み替えて近郊にある処分場へ運搬
・港や駅までトラックで運び、貨物船や貨物列車でより遠くまで運搬
の様なイメージとなります。
これにより業務効率改善やコスト削減、都市部への大型車両の乗り入れ抑制、モーダルシフトなどの様々なメリットが発生します。
積替え保管を行うとその前後で運搬区間が分かれます。
例えば、積保を1か所で行う場合、その前が第1運搬区間、積保の後が第2運搬区間となります。
積保の回数には上限がありませんので、例えば2回積保を行う場合は、下図のように運搬区間は3区間になります。
積保は、基本的には運搬とセットで委託を行います。
例えば 運搬業者Aに「第1区間運搬+積保」を委託し、収運業者Bに「第2区間運搬」を委託する
運搬業者Aに「第1区間運搬+積保+第2区間運搬」を委託する
といったイメージになります。
積保を含まない、区間委託のみを委託する業者については、積保を含まない収運許可で運搬を行えますが
積保を含む委託をする業者については、その収集運搬許可内容に積替え保管が含まれた許可である必要があります。
積替え保管を委託する際には、下記3つの注意が必要です。
No | 対象 | ポイント |
---|---|---|
1 | 許可証 | 積替え保管を委託する場合は、積替え保管の許可を含んだ収集運搬許可が必要です。 本コラムの「産業廃棄物処理業の許可制度と許可権者について」もご参考にして、必要となる自治体の許可があることを確認してください。 |
2 | 契約 | 積替え保管を委託する相手との委託契約の中に、積替え保管に関する内容を記載する必要があります。 また、運搬の最終目的地については積替え保管までの運搬を委託する場合は、積保え場所を記載する必要があります。 |
3 | マニフェスト | 積替え保管を含む経路でのマニフェスト管理は、直行用の7枚つづりではなく積替え保管の8枚つづりのマニフェストでの管理が必要です。 |
以上で積替え保管に関する概要は終了です。
積替え保管は、マニフェストの運用等すこし分かりづらいことがあると思います。本コラムをお読みになり、疑問などがございましたらお気軽にお問合せフォームにてご連絡頂けると幸いです。
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