廃掃法に基づく行政処分には、主に業許可の取消、事業の停止、措置命令、改善命令が挙げられます。一般的に処分内容の重さは「業許可の取消>事業の停止>措置命令>改善命令」となり、それぞれの要件が異なるのはもちろんのこと、対象者の範囲も異なり、また、統計を取ると発生件数にも大きな差があることが見て取れます。
本トピックでは、法令や通知、弊社が独自に収集した過去5年間の行政処分情報を参考に、その体系や統計情報、実際にあった過去の事例などを全2回に分けて解説いたします。
1回目はこちら:過去の行政処分事例から学ぶ(1/2)
2回目となる今回は、実際にあった過去の具体的な事例をご紹介いたします。
<事例①>
・自治体 :三重県
・処分日 :令和4年3月
・処分対象:産業廃棄物収集運搬業
・処分内容:事業の停止(90日間)
・処分理由:解体工事で発生した産業廃棄物について、産業廃棄物処分業許可を有さない企業に処分を委託した。また、書面による契約を行わずに産業廃棄物の収集運搬を委託した。さらに、産業廃棄物を引渡す際、管理票を交付していなかった。
<事例①>
・自治体 :岐阜県
・処分日 :平成30年6月
・処分対象:産業廃棄物収集運搬業
・処分内容:事業の停止(10日間)
・処分理由:4月に2回、11月に3回の計5回、排出事業者から産業廃棄物管理票の交付を受けていないにも関わらず、産業廃棄物(汚泥)の引き渡しを受け運搬を⾏った。
<事例②>
・自治体 :三重県
・処分日 :令和4年3月
・処分対象:産業廃棄物収集運搬業
・処分内容:事業の停止(10日間)
・処分理由:下水道工事で発生した産業廃棄物(がれき類約15トン)について、当該工事の元請業者から産業廃棄物管理票の交付を受けずに仮置場まで運搬した。
<事例①>
・自治体 :山口県
・処分日 :令和3年10月
・処分対象:産業廃棄物収集運搬業
・処分内容:事業の停止(30日間)
・処分理由:他社から収集運搬を受託した産業廃棄物(汚泥)約504.2kgを、飲食店付近の道路上で流出させた。
<事例②>
・自治体 :沖縄県
・処分日 :令和2年1月
・処分対象:産業廃棄物収集運搬業
・処分内容:事業の停止(30日間)
・処分理由:法定の除外事由がないのに、積替え保管場所の追加の変更届出をせずに、同社の事業場において産業廃棄物であるグリーストラップ汚泥の⼊ったバキュームカータンクから1トンタンク6基に積替えを⾏い、もって、届出区域外の場所において、産業廃棄物の積替えを⾏った。
<事例①>
・自治体 :鳥取県
・処分日 :令和2年3月
・処分対象:産業廃棄物処分業
・処分内容:改善命令
・処分理由:解体工事に伴い発生した木くずを焼却施設で焼却する目的で同地内に持ち込み、保管量の上限を大幅に超過する約1,300立方メートルの木くずを保管しており、県は被処分者に対し、令和元年9月から文書指導を4回行ってきたが、目立った改善がない。
<事例②>
・自治体 :山形県
・処分日 :令和4年3月
・処分対象:産業廃棄物処分業
・処分内容:改善命令
・処分理由:課職員が被処分者の事業場において、焼却設備の煙突から焼却灰が飛散している状況を確認した。過去にも同事業者において焼却処分の基準違反が確認されていた。
<事例①>
・自治体 :岡山県
・処分日 :令和2年11月
・処分対象:産業廃棄物収集運搬・産業廃棄物処分業
・処分内容:事業の停止(90日間)
・処分理由:約1年の間、排出事業者から収集運搬及び処分を受託した産業廃棄物を自社産業廃棄物中間処理事業場に保管し、産業廃棄物管理票に記載された運搬先への運搬及び処分が終了していないにもかかわらず、終了した旨の虚偽の産業廃棄物管理票の写しの送付を76件、電子情報処理組織の使用による報告を41件行った。
過去の行政処分事例から学ぶ(全2回)は以上となります。常習性がある行為に行政処分が出されることはもちろんですが、単発の行為でも行政処分を受けることがあるということがお分かりいただけたかと思います。「少しくらいなら」と考えずに日ごろから十分意識して廃棄物に関する運用を行っていきましょう。
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