2026年4月3日、環境省および経済産業省は、「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律案」が閣議決定されたと公表
■制度創設の背景
2030年代後半以降に使用済み太陽光パネルの排出量が年間最大50万トン程度に達する可能性があります。現状では、埋立処分費用と比べてリサイクル費用の方が高く、全国的な処理体制も十分とは言えない。こうした課題を踏まえ、法案はまず多量排出事案から制度を強化しつつ、将来的なリサイクル義務化も視野に入れた基盤整備を進める内容となっています。
■排出事業者に求められる対応
法案では、国が基本方針を策定し、事業用太陽電池の廃棄抑制や再資源化を進めるための方向性を示します。そのうえで、事業用太陽電池を廃棄しようとする事業者に対しては、主務大臣が判断基準を定め、必要に応じて指導・助言を行う仕組みが設けられます。さらに、一定規模以上の「多量事業用太陽電池廃棄者」には、廃棄実施計画の事前届出が義務付けられ、排出重量、時期、処分方法、工事発注先、処分委託先などを明記する必要があります。計画内容が不十分な場合には、変更等の勧告や命令の対象となります。
■リサイクル事業者向けの認定制度
リサイクル事業者向けには、「太陽電池廃棄物再資源化等事業計画」の認定制度が新設されます。認定を受けた事業者は、認定計画に基づく収集運搬や処分について、都道府県ごとの廃棄物処理法上の許可を不要とする特例を受けられます。加えて、保管基準の特例も設けられることで、広域的かつ効率的なリサイクル体制の構築が後押しされる見通しです。これにより、広域回収や集約処理を進めやすくし、費用効率的なリサイクル事業を後押しする狙いがあります。
排出事業者にとっても、今後は認定事業者の有無や、どのような再資源化ルートが利用できるかが、委託先選定の重要な判断材料になりそうです。
■製造・販売段階にも広がる対応
法案では、製造・輸入業者や販売業者に対しても、環境配慮設計や含有物質に関する情報提供などの措置を講じるとしており、製品の設計から廃棄・再資源化までを見通した制度構成となっています。
■今後の注目点
本法律案は、2026年4月3日に閣議決定されており、第221回特別国会に提出される予定です。施行期日は、一部を除き、公布の日から1年6か月を超えない範囲で政令により定める日とされています。制度の骨格は法案で示された一方で、多量排出の要件や届出実務、認定制度の詳細運用は、今後の政省令や運用基準で具体化されていく見通しです。
今回の制度は、リサイクル事業者だけでなく、太陽光パネルを保有し、将来撤去・更新・廃棄する可能性がある一般企業にとっても重要です。とくに廃掃法に関連する情報収集を進めている排出事業者にとっては、自社設備が制度対象となり得るのか、どのような処理ルートや委託体制の整理が必要になるのかが注目点になりそうです。
今後、法案審議に加え、政省令、判断基準、関連通知、主務省の説明資料などが示されることで、排出事業者に求められる対応もより明確になっていくとみられます。太陽光設備の撤去や更新を予定する企業は、廃掃法上の適正処理に加え、再資源化の考え方がどのように制度化されるのか、引き続き情報を追いかけていく必要があります。